クラウド電話サービスの活用でどれぐらいコスト削減できる？

近年のビジネス環境は著しい変化を遂げています。コミュニケーション手段に関しても同様で、従来の「電話」から「クラウド電話サービス」に切り替える企業や組織も少なくありません。クラウド電話サービスに切り替える主な目的は、コストの削減です。

では、クラウド電話サービスへの切り替えは、企業の通信インフラにおいてどれほどのコスト削減効果があるのでしょうか。当記事では、クラウド電話サービスによるコスト削減に焦点を当て、メリットや導入の際のポイントについて解説します。

クラウド電話サービスとは？

クラウド電話サービスとは通信インフラをクラウド上に構築し、企業が必要な通信機能をオンデマンドで利用できるサービスです。クラウド電話サービスは従来のオンプレミス型の電話システムとは異なり、物理的な機器やサーバーの設置が不要になります。クラウド電話サービスを導入するために必要なのは、インターネット環境とスマートフォンやパソコンのみです。

クラウド電話サービスを導入するメリット

クラウド電話サービスを導入するメリットは、大きく分けて以下の4つが挙げられます。

初期費用の削減
ランニングコストの削減
運用・管理の簡素化
柔軟な拡張性

初期費用の削減

クラウド電話サービスでは、オンプレミス型のビジネスフォンと異なり、専用の機器やソフトウェアを導入する必要がありません。そのため、初期費用を大幅に抑えることができます。従来のビジネスフォンの場合、主装置や電話機、回線などの導入に、数百万円から数千万円の初期費用がかかっていました。

一方、クラウド電話サービスは安価な導入費用と月額利用料のみで利用できます。導入費用に関しては無料のサービスもあります。そのため、初期費用を大幅に削減することができます。

ランニングコストの削減

クラウド電話サービスでは、通話料や回線使用料などのランニングコストが、従来のビジネスフォンよりも安価に設定されています。また、通話料の割引やオプションサービスなどが用意されていることも多く、コスト削減につながります。

従来のビジネスフォンの場合、通話料は、国内通話で30秒あたり3円程度、国際通話で30秒あたり10円程度が一般的です。一方、クラウド電話サービスは、通話料の割引やオプションサービスを利用することで通話料をさらに安く抑えることができます。

運用・管理の簡素化

従来のビジネスフォンの場合、主装置や電話機の保守・メンテナンス、回線の管理など、さまざまな運用・管理が必要です。一方、クラウド電話サービスはサービス提供事業者がこれらの業務をすべて代行するため、運用や管理にまつわる自社の負担を大幅に軽減することができます。

柔軟な拡張性

従来のビジネスフォンの場合、新しい拠点や従業員の増加に対応するためには、主装置や電話機などのハードウェアの追加や拡張が必要でした。一方、クラウド電話サービスでは、必要な分だけ利用できる従量課金制を採用している場合が多いです。そのため、企業の成長に合わせたシステム拡張がスムーズに行えます。

クラウド電話サービスを導入するデメリット

クラウド電話サービスを導入するメリットは多くありますが、デメリットも存在します。主なデメリットは以下の3つです。

依存度の高さ
カスタマイズの難しさ
セキュリティ懸念

依存度の高さ

クラウド電話サービスは、インターネット接続に依存しています。そのため、インターネットの障害やサービス提供事業者のシステム障害が発生した場合、通信が利用できなくなる可能性があります。具体的には、以下のような障害が考えられます。

インターネットの回線障害
サービス提供事業者のシステム障害
自然災害による停電

これらの障害が発生した場合、クラウド電話サービスは利用できなくなります。そのため、業務に支障をきたす可能性があることに注意が必要です。

カスタマイズの難しさ

クラウド電話サービスは標準化されたサービスが多いため、柔軟なカスタマイズが難しいことが課題です。どうしても柔軟なカスタマイズが必要な場合はクラウド電話サービスではなく、従来のビジネスフォンを導入したほうがよい場合もあります。

セキュリティ懸念

クラウド電話サービスでは音声通話やFAXなどのデータをインターネットを介してやり取りするため、セキュリティの懸念があります。具体的には、以下のようなセキュリティリスクが考えられます。

データの漏えい
データの改ざん
データの紛失

これらのリスクを軽減するためには、以下の対策を講じることが重要です。

クラウドプロバイダーが提供するセキュリティ対策を利用する
二要素認証やVPNなどのセキュリティ対策を導入する
データの暗号化を行う

このようにクラウド電話サービスにはメリットばかりではないことを念頭に置いておきましょう。

具体的なコスト削減効果

クラウド電話サービスのコスト削減効果は、企業の規模や利用状況によって異なります。そのため一概には言えませんが、ここで具体例を紹介しておきます。

たとえば、従来のビジネスフォンで固定電話機を10台導入していた企業の場合です。このシチュエーションなら初期費用が約300万円、ランニングコストは月額約5万円程度と想定されます。この企業がクラウド電話サービスを導入した場合、初期費用は約10万円、ランニングコストは月額約2万円程度に抑えられる可能性があります。