固定電話システムには、初期設定費用や月々の利用料金、さらにはメンテナンス費用など、多くの隠れたコストが存在します。これらの費用は、とくに中小企業にとって大きな負担となり、ビジネスの成長を妨げる要因となりかねません。そこで注目されているのが、クラウド電話システムへの移行です。この記事ではクラウドへの変更を検討している方に向けて、固定電話と比較しながら、コスト削減にどのくらいの効果があるのか紹介します。
クラウド電話システムへの移行
クラウド電話システムは、インターネットを介して音声通話を行うVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信システムです。これにより、従来の固定電話に必要だった物理的な電話線やPBX(Private Branch Exchange)装置が不要になります。
固定電話システムが抱え続ける課題
多くの企業で長年使用されてきた固定電話システムには、いくつかの課題があります。
高額な維持費
固定電話システムは初期投資だけでなく、継続的な保守費用も高額です。専門的な知識を持つ技術者による定期的なメンテナンスや、故障時の緊急対応など、予想以上のコストがかかっています。
拡張性の限界
事業拡大や組織変更に伴う電話回線の増設や、オフィスレイアウトの変更時の配線工事など、システムの拡張や変更には多大な時間とコストがかかります。
機能の制限
従来のシステムでは、最新のコミュニケーション技術を活用することが困難です。モバイル連携やビデオ会議など、現代のビジネスに不可欠な機能を追加するには、大規模な設備投資が必要となります。
クラウドへの移行理由とメリット
前述した固定電話が抱える課題はクラウド電話システムに移行させることで、解決することも少なくありません。クラウド電話システムに移行させるとどのようなメリットがあるのか、以下でご確認ください。
コスト削減
最大の魅力はコスト削減です。従来の固定電話システムに比べて、クラウド電話システムは初期導入コストが低く、月々の利用料金も抑えることが可能です。また、インターネットを介した通話は国際電話料金を大幅に削減することができます。
スケーラビリティが柔軟に
さらに、クラウド電話システムはスケーラビリティに優れており、企業の成長や変化に応じて柔軟に対応可能です。管理面でも、クラウドベースの管理画面から簡単に設定や変更が行えるため、IT管理者の負担も軽減されます。
高度な機能
ビデオ会議、チャット、プレゼンス機能など、最新のコミュニケーションツールを統合できます。また、アップデートは自動で行われるため、常に最新の機能とセキュリティ対策が提供されます。
コスト削減の具体例
固定電話システムには初期設定費用、月額料金、メンテナンス費用、そして通話料金といったさまざまなコストが含まれます。
一方、クラウド電話システムでは、主なコストはサブスクリプション料金とインターネット接続費用です。初期設定費用は低く抑えられ、通話料金もインターネットを介するため大幅に削減できます。固定電話からクラウド電話システムに移行することで、企業の規模によっては、年間数百万円以上のコストカットも可能です。
参考として、大手銀行である三菱UFJ銀行の事例を紹介します。
社内で使用している固定電話(内線PHS含む)の約75%を、来年度をめどに廃止する方針を固めた。このため、来年度中に国内の本部と支店の従業員に約3万5千台のスマートフォンを配布し、個人が使う固定電話から置き換える。
三菱UFJ銀行は大手企業であり元々使用していた固定電話の数が多かったからこそ、ここまで大きなコストカットになるのでしょうが、中小企業であっても数百万円以上のコストカットを実現できるケースは、けっして少なくありません。
クラウドへの移行プロセス
クラウド電話システムへの移行は、以下のステップで進めることが推奨されます。
- 事前調査と計画立案:企業の通信ニーズを詳細に調査し、最適なクラウド電話システムを選定するための計画を立案
- プロバイダーの選定:さまざまなクラウド電話サービスのプロバイダーを比較し、企業のニーズに最も適したプロバイダーを選定する
- 移行テストとトライアル:実際にクラウド電話システムを導入する前に、小規模なテストやトライアルを実施し、システムの動作確認を行う
- フル移行とトレーニング:全社的なシステム移行を実施し、同時に従業員に対するトレーニングを行う
固定電話からクラウドへの移行を成功させるためのポイント
管理者は、この移行プロセスの中心的な役割を果たします。とくに、移行計画の立案からプロバイダー選定、移行後のトレーニングまで、すべてのステップで主導的な役割を果たすことが重要です。また、エンドユーザーである従業員への教育とサポートも欠かせません。
クラウド電話システムの将来性
クラウド電話システムを導入した後のメリットは、コスト削減にとどまりません。維持費の低減、利便性と機能性の向上、そして組織全体の効率化が挙げられます。たとえば、クラウドベースの管理画面からの簡単な操作で、迅速に設定変更や利用状況の監視が可能となります。
将来的にクラウド電話システムはAIと統合された高度な通信システムへと進化する可能性があります。その結果、音声認識や自動応答システム、さらにはデータ分析によるビジネスインサイトの提供など、より高度な機能が実現されるでしょう。また、5Gの普及により、さらに高速で安定した通信インフラが整備されることが期待されています。
おすすめのクラウド電話サービス
ここでは、たくさんあるクラウド電話サービスの中からおすすめのサービスを厳選して紹介します。よかったらご検討ください。
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NTTデータ ルウィーブ(株)
Webex Calling by Cisco
働き方改革・リモートオフィスを実現するクラウドPBX
社員がオフィス、外出時でも代表者番号で電話対応ができます。クラウド型電話システムのため、インターネット接続可能であれば、固定電話機、PC、スマートフォン等から電話応対ができます。
固定電話からクラウドへ:まとめ
固定電話からクラウド電話システムへの移行により、コスト削減のインパクトは非常に大きいです。固定電話からクラウド電話システムへ移行させてコスト削減を行いたいのであれば、この記事で紹介したステップを参考にしてください。
なお、新たなシステム導入やサービスの利用に関して稟議書が必要な場合は以下の記事を参考にしてください。