仮想株式という新しい形態の株式が注目を集めています。仮想株式は企業が従業員や取引先などに対して、一定の条件を満たすことで得られる「仮想的な」株式の権利を提供する仕組みです。
この仕組みは従来の実際の株式とは異なり実際の株を発行するわけではありませんが、従業員やパートナーが企業の業績や成長に貢献することを動機づけるための強力なツールとなります。
本記事で解説する仮想株式が企業の成長にもたらす影響と仮想株式を活用した新しいサービスの具体例を通して、仮想株式の意義とその実践的な活用について理解を深めていただければと思います。
仮想株式とはなにか?
企業は特定の期間内に一定の条件を満たした場合、従業員に対して仮想的な株式を付与します。
この仮想株式は実際の株式とは異なり所有権や議決権を持つものではありませんが、企業の業績や株価に応じて後に現金や実際の株式に変換できる可能性を持たせることができるのです。具体的には以下のような特徴があります。
- 実際の株式と異なる所有権:仮想株式は物理的な株券や株式そのものを持つわけではありませんが、企業の成功や成長に応じた報酬を受け取る権利を持たせることができます。
- 条件付きの付与:仮想株式は特定の業績目標や勤務期間など、あらかじめ定められた条件を達成した場合にのみ付与できます。
- リスクの軽減:従来の株式発行とは異なり企業は株式の希釈(既存株主の持ち株比率が低下すること)を防ぎつつ、従業員やパートナーに報酬を提供できます。
仮想株式の設計と利用
仮想株式は企業ごとに特定の目標に応じた独自の設計が可能です。たとえば、企業が成長段階にある場合、従業員に仮想株式を付与することで業績に対する意識を高め、目標達成に向けた努力を促すことができます。
また、企業は業績が良くなれば従業員に報酬を支払い、逆に業績が悪化すれば支払いを行わない柔軟性を持つため、コスト管理の面でも有利です。
仮想株式は企業が成長を促進し従業員やパートナーの意識を高めるための重要な戦略ツールとなります。従来の株式とは異なる利点を持ちながら企業の柔軟な運営を支援するこの仕組みは、今後ますます広く活用されることでしょう。
仮想株式が企業の成長に与える5つの影響
本項では仮想株式が企業の成長にどのような影響を与えるのか、5つの主要なポイントに分けて詳しく解説します。
影響1:社員やパートナーとの信頼関係の強化
仮想株式は企業が社員やパートナーと信頼関係を強化するための有効な手段です。企業は仮想株式を付与することで、社員やパートナーに企業の成功にひもづけた直接的な利益をもたらす機会をつくることができます。
影響2:資金調達の効率化
仮想株式は資金調達の新しい手段としての活用が可能です。従来の株式発行に比べて仮想株式を利用することで、企業は株式の希釈(既存の株主の持ち分が減少すること)を避けながら資金を調達することが可能となります。
影響3:リスク管理の強化
企業にとってリスク管理は重要な課題です。仮想株式は株式を発行しないため株主の持ち分が希釈されるリスクを避けることができます。これにより企業は株主の利益を守りながら、仮想株式を活用して従業員やパートナーに報酬を提供できるのです。
影響4:従業員の動機付け
仮想株式は従業員の動機付けのための強力なインセンティブとなります。従業員は自らの努力が企業の成長に結びつき、その成果が報酬として反映されることを実感できるため、仕事に対する意欲が高まります。
影響5:長期的な企業価値の向上
仮想株式は企業の長期的な成長と価値向上に貢献できるのです。仮想株式を導入することで企業は優れた人材を引きつけます。
仮想株式を利用した報酬制度は企業が短期的な成果にとどまらず、長期的な視点で成長を目指す姿勢を明確にすることが可能です。
仮想株式は企業が成長を加速させ、持続的な価値を生み出すための重要なツールとなります。効果的な仮想株式の活用で、企業は成長に向けての強力な駆動力を生み出すことができるでしょう。
仮想株式サービスの具体例解説
エンゲージメントストック
「エンゲージメントストック」とは南青山FAS株式会社が提供する仮想株式を活用した報酬制度です。
仮想株式を従業員に付与し、仮想の株価に基づいて業績連動型報酬を現金で支給する制度なので、実際の株式を発行することなく、従業員に株式のような報酬を提供できます。
幅広い業種で活用可能
エンゲージメントストックは日本国内の上場企業、上場準備企業、中小企業、さらには医療法人や税理士法人など、幅広い業種で活用することができます。
従業員の採用、働く動機付けや退職防止を目的としており、とくに従業員は自分の努力が報酬に反映されることを実感できるため会社への愛着心が高まり、長期的な成長に貢献することが期待できるのです。
また、エンゲージメントストックはSaaS型ストックオプション管理ツール「ストックオプションクラウド」を使って利用できます。このツールにより従業員は自分の仮想株式の価値を常時確認することができ、報酬金額の見える化が可能となるのです。
仮想株式を活用することの魅力
仮想株式は企業が持続的な成長を果たすうえで重要な役割を果たすことができます。その第一の魅力は低コストで導入可能な報酬制度であることです。
仮想株式は従来の株式報酬制度と比較して導入コストが低くおさえることができます。また柔軟な設計が可能であり、全社的なKPIだけでなく部門別のKPIにも適用できるのです。さらに従業員の長期的コミットメントの促進に貢献できます。この記事を参考に仮想株式の活用を検討していただければと思います。