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※前半2日間(6/10~11)+後半2日間(6/12~13)の合計出展見込み者数

内発的動機がカギ?社員が“自ら動き出す”組織の作り方

バックオフィス向け
バックオフィス向け

社員が「言われたからやる」のではなく、「自ら動き出す」組織には共通点があります。

それは、外からの報酬や圧力ではなく、内側から湧き上がる“やる気”をどう引き出すかという視点です。今注目されている「内発的動機」に焦点を当て、社員の自律性を高める組織づくりのヒントを探ります。

内発的動機とは何か?

内発的動機とは、「自分がやりたい」「意味がある」と感じて行動する気持ちのことです。たとえば、誰かに褒められるからではなく、「この仕事が面白い」「自分の成長につながる」と感じて取り組むような状態です。

アメリカの心理学者エドワード・デシ氏とリチャード・ライアン氏によって提唱された、心理学の「自己決定理論」では、人が自発的に行動するには以下の3つが満たされる必要があるとされています。

要素説明
自律性(Autonomy)自分で選び、決定できる感覚
有能感(Competence)自分にはできるという実感
関係性(Relatedness)他者とのつながりや信頼関係

この3つが揃うことで、人は自然とやる気を持って行動できるようになります。

また、内発的動機は「継続性」にも強みがあります。
外発的な報酬は一時的な効果にとどまりがちですが、内発的動機は本人の価値観や興味に根ざしているため、長期的なモチベーション維持につながります。

自己決定理論は教育、スポーツ、ビジネスなど多くの分野で応用されており、特に学習やパフォーマンスの向上に寄与することが示されています。

引用:コアネット教育総合研究所/自己決定理論

なぜ今、内発的動機が注目されているのか?

若年層をはじめ、中間管理職のモチベーションの低下による離職や、エンゲージメントの低下といった課題も深刻化しています。人材の確保と定着が難しくなる中で、社員の内側から湧き上がるやる気をどう育てるかは、企業にとって喫緊のテーマです。

また、リモートワークや副業の普及により、働き方の自由度が高まる一方で、社員一人ひとりに自律的な行動が求められるようになりました。上司の目が届かない環境では、指示待ちではなく、自ら考えて動く力が不可欠です。

こうした背景から、内発的動機に基づくマネジメントが注目されています。これは単なる「やる気づくり」ではなく、社員の創造性や主体性を引き出し、企業の持続的な成長を支える戦略的な取り組みでもあるのです。

社員の内発的動機を引き出す3つの仕組み

社員のやる気を引き出すには、制度や日々の関わり方に工夫が必要です。
以下の3つの仕組みは、特に効果的とされています。

① 自律性を尊重する制度設計

  • フレックスタイム制
  • リモートワークの導入
  • 副業・兼業の許可
  • プロジェクト選択の自由度

社員が「自分で選べる」と感じることで、主体性が育ちやすくなります。

② 意味づけを促すコミュニケーション

  • 仕事の目的や背景を共有する
  • 社会的意義や顧客への影響を伝える
  • 上司がビジョンを語る機会を増やす

仕事の意味が明確になると、社員は自分の役割に納得しやすくなります。

③ 成長実感を得られるフィードバック

  • 定期的な1on1ミーティング
  • スキルアップ支援(研修・資格補助)
  • 小さな成功体験の共有

「自分は成長している」と感じられることが、やる気の持続につながります。

昇進し権限を与えられることで「自律性」「自主性」を得ることができる従来の制度設計も、上記を組み合わせ改善することで、さらによりよい結果が得られるかもしれません。

内発的動機を阻む要因とは?

内発的動機は強力な原動力ですが、すべての環境で自然に育つわけではありません。
以下のような要因があると、社員のやる気は低下しやすくなります。

阻害要因影響
過度な管理・指示自律性が失われ、受け身になる
評価が成果のみ挑戦や工夫が報われず、意欲が下がる
意見が否定される文化関係性が希薄になり、安心して発言できない

これらの要因は一見すると内発的動機を妨げるように見えますが、必ずしもすべてが悪いわけではありません。たとえば、明確な指示や成果重視の評価が必要な場面もあります。

大切なのは、それらの要素が一方的に偏りすぎないことです。
管理と自由、成果とプロセス、指導と対話のバランスを見直すことで、社員が安心して意見を出し、自ら動き出せる環境をつくることができるのです。

組織全体で取り組むべき視点と補足

内発的動機を引き出す方法の一つとして、組織全体の文化やマネジメントの在り方も重要です。まず、「心理的安全性」のある職場をつくること。
社員が「失敗しても大丈夫」「自分の意見を言っても否定されない」と感じられる環境があってこそ、自発的な行動が生まれと言われています。

また、管理職自身が内発的動機に基づいて行動しているかも問われます。上司が情熱を持って仕事に取り組む姿勢は、チーム全体に伝わります。

さらに、評価制度や報酬の設計も見直す必要があります。
以下のような視点で制度を見直すと、内発的動機を後押しできます。

見直しポイント具体例
プロセス評価の導入結果だけでなく、挑戦や工夫も評価する
チーム貢献の可視化他者支援やチームワークを評価に反映する
自己申告制度の活用(業務改善・日報)自分の成長や成果を自ら振り返る機会を設ける

営業職のように成果が数値で明確に見える職種とは異なり、非営業職やバックオフィス部門では、成果の判断が難しいことがあります。その際、どのようにKPI(重要業績評価指標)を設定するかも、評価の納得感に直結し、モチベーションにも大きく影響します。

適切なKPI設計は、内発的動機を支える「成長実感」にもつながります。

まとめ

社員が“自ら動き出す”組織をつくるには、内発的動機を理解し、「ゴールはここだよ」「でもやり方は自分で考えた方が楽しいよ」という意識で導いていく仕組みを整えることが不可欠です。

自律性・意味づけ・成長実感という3つの要素を意識しながら、制度や業務環境を見直すことで、社員のやる気と組織の活力は大きく変わります。
それぞれの役割に合わせた柔軟なアプローチが、これからの組織づくりの鍵となるのかもしれません。

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