キャッシュレス決済の普及が進むなか、企業においてもその対応が重要視されています。実際に、どの程度の企業がキャッシュレス決済を導入しているのでしょうか?
また、完全にキャッシュレス化を目指すことが現実的なのか、現金をどこまで残すべきなのか、考えてみましょう。
キャッシュレス決済の急速な普及と企業への影響
キャッシュレス決済の導入は、コロナ禍を契機に急速に拡大しました。非接触決済の需要が高まり、消費者の意識も「キャッシュレスが便利で安全」という方向にシフトしています。
オンラインショッピングの拡大やスマホ決済の普及も影響しており、今や多くの店舗でキャッシュレス決済が選択肢に含まれているのが現状です。
企業側のメリット
キャッシュレス決済を導入する企業のメリットは多岐にわたります。
- 現金管理のコストが削減される
- 会計業務の効率化
- 現金のやり取りが減ることで現場の負担も軽減
また、消費者にとっても支払いが簡単で迅速に行えるため、サービスの利便性が向上し、顧客満足度の向上にもつながります。
最新のキャッシュレス決済比率とその背景
2024年3月に経済産業省が発表した、2023年のキャッシュレス決済比率は以下のとおりです。
2023年のキャッシュレス決済比率は堅調に上昇し、39.3%(126.7兆円)となりました。
引用:経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
海外との比較:日本のキャッシュレス決済比率は高い?
2013年は15.9%程度だったキャッシュレス決済比率の比較を考えると、日本のキャッシュレス化率はここ数年で大きく伸びています。
しかし、海外と比較するとまだまだ現金利用が多いのも事実です。観光立国を目指す日本では、訪日外国人の利便性向上のためにもキャッシュレス化を進めることが必要とされています。
キャッシュレス化への現実的な課題
多くの企業がキャッシュレス決済の導入を進めていますが、業界や企業規模による導入実態にはばらつきがあります。
たとえば、多くの中小企業ではまだ現金主体の運営ですが、その理由は手数料の負担や機器導入にかかる初期コストがネックとなり、導入に慎重になる企業が多いためです。
キャッシュレス決済導入に伴う課題
キャッシュレス決済導入に伴う課題としては、次のような要素が挙げられます。
- 手数料負担:キャッシュレス決済には手数料がかかるため、利益率の低い事業にとっては負担となる
- 導入コスト:専用の決済端末やシステムの導入に初期費用がかかる場合がある
- 従業員や顧客の理解:キャッシュレス決済に慣れていない顧客や従業員に対しては、教育が必要
これらの課題にどう対処するかは、企業がキャッシュレス化を進めるうえでの重要な検討ポイントです。
キャッシュレス決済導入への課題1:手数料負担
消費者がキャッシュレス決済を選択した場合、店舗側で手数料を負担する必要があります。
具体的な手数料は加盟店の業種や契約内容、取引規模により変わることも多いのですが、参考例として以下の表をご覧ください。
決済サービス | 手数料(取引額の%) | 備考 |
クレジットカード決済 | 3%〜5% | VISAやMastercardなどのブランドごとに異なることがある |
PayPay | 1.98%〜2.6% | 楽天ペイ等と組み合わせると手数料が異なる場合もある |
LINE Pay | 1.98%〜3.24% | 条件によっては手数料が変動する |
メルペイ | 1.5%〜3.24% | 業種や年間売上高により異なる |
楽天ペイ | 1.98%〜3.24% | クレジットカード利用の場合、手数料が加算されることもある |
d払い | 2.2%〜3.25% | ドコモとの契約内容による |
nanaco | 2%〜3.5% | 決済機関により変動あり |
iD | 3.25%程度 | カード会社や銀行による |
Suica | 2.5%〜3.5% | 業種や規模に応じて変わる |
上記の手数料はあくまで目安です。加盟店向けのキャンペーンや特別な契約により手数料が安くなることもあるため、詳細は各キャッシュレスサービス提供元に確認してください。
キャッシュレス決済導入への課題2:導入コスト
キャッシュレス決済を導入する際は、先ほど紹介した手数料以外にも以下のコストがかかります。
- 初期導入費(端末代)
- 月額使用料
- 通信費用
- 振込手数料
- メンテナンス費用
主なキャッシュレス決済導入例
モバイル決済 | クレジットカード決済(据置型端末を利用する場合) | |
端末代 | 0円(スマートフォンで利用可能) | 20,000円〜50,000円程度 |
月額費用 | 0円 | 500円〜3,000円程度(機種や契約内容により異なる) |
決済手数料 | 1.98%〜3.25%程度 | 3%〜5%程度 |
振込手数料 | 無料または1回あたり200円程度 | 無料〜数百円 |
メンテナンス費用 | 0円〜数千円/年 | 0円〜数千円/年 |
キャッシュレス決済導入への課題3:顧客や従業員の理解が必要
業種によっては顧客の多くがキャッシュレス決済を望んでいない場合もあります。たとえば、機械に弱い層や高齢者が顧客に多いケースが、これに当てはまります。全ての業種でキャッシュレス決済が望まれているわけではないことは、知っておいてください。
また、キャッシュレス決済を導入する際には、当然ながら従業員が対応する必要があるため、彼らへの教育も必須です。
現金利用はどこまで減らすのが現実的か
現金とキャッシュレスのバランスについて考えると、企業としては完全にキャッシュレス化を目指すのではなく、一部現金利用を維持しながらも、キャッシュレス決済の比率を高めるというのが現実的な選択肢でしょう。
たとえば、現金払いの対応を徐々に減らし、キャッシュレス対応に重点を置くことで、従業員や顧客に対して無理なく変化を促すことができます。
キャッシュレス決済へ対応するためのおすすめレジ
キャッシュレス決済への対応と同時に、セルフレジを導入することで、企業はより多くのメリットを得られます。ここではおすすめのレジを紹介するので、よかったらご覧になってください。
※これらの製品情報の閲覧には「DXPOオンライン会員登録」が必要です。
Nayax(株)
Nova Market
最もシンプルでスタイリッシュな一体型セルフレジ端末
シンプルなUI/UXでだれでも簡単にキャッシュレス 食券機としても活用可能なセルフレジ端末
旭精工(株)
「デジレジ」
デジタル時代の会計は、これで決まり。
「デジレジ」は横幅46cm×奥行45cmの非常にコンパクトな自動精算機です。製品面積は他社に比べて約20%程小さく、限られたスペースにもすっきりと設置できます。
まとめ:柔軟な形でのキャッシュレス決済導入を
この記事ではキャッシュレス決済の比率について紹介しました。キャッシュレス決済の普及は今後も続くと予想され、企業にとっても避けられない流れです。
単に「現金をなくす」ことが目的ではなく、経営戦略としてのキャッシュレス化を位置づけ、効率化や顧客満足度の向上にどうつなげるかが重要でしょう。今後、企業には消費者ニーズや業界の変化に対応し、柔軟にキャッシュレス化を進める力が求められます。