多くの店舗でセルフレジの導入が進んでいますが、その一方でセルフレジに慣れていない顧客や、対面でのサービスを好む顧客からの反発による客離れが懸念されています。
本記事では、セルフレジ導入による客離れのリスクを軽減し、売上を維持・向上させるための具体的な対策について解説します。
セルフレジ導入による客離れの可能性
「セルフレジが嫌い」からの客離れは一定数いる
「人件費の削減や効率化のためにセルフレジを積極的に導入していきたい」と考える店舗は多いのですが、セルフレジはすべての顧客に受け入れられるわけではありません。
とくに高齢者や技術に不慣れな層にとっては、セルフレジの操作が複雑で使いづらく感じられることがあります。また、有人レジでの対面サービスを好む顧客は、セルフレジの導入により不満を感じる可能性があります。
セルフレジの導入当初はとくに注意
さらに、導入初期にはシステムの不具合や操作ミスが発生しやすい傾向があるため、これらが顧客のストレスとなり、買い物体験全体に悪影響を与えることもあるでしょう。
こうした問題は、顧客満足度の低下や売上減少につながってしまう可能性があるのです。
セルフレジが嫌い・苦手な層はどこ?
マーケティングリサーチ会社の株式会社アスマークが、2024年7月に発表した「セルフレジのお困りごとに関するアンケート調査」によると、セルフレジにポシティブな印象を持っているのは20代の男性に多いようです。
逆にセルフレジにネガティブな印象を持っているのは、50代以上の男性または40代以上の女性に多いという結果が出ています。
年齢が上がる毎にセルフレジを受け入れづらい傾向
つまり、50代以上の男性または40代以上の女性が主な客層である店舗の場合、セルフレジを導入する際にはより注意が必要ということです。
参考:PR TIMES「セルフレジ、困ったことがない人が約65%~セルフレジのお困りごとに関するアンケート調査~」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000484.000018991.html
セルフレジ:客離れを防ぐためのサービス事例
一度でもセルフレジを体験させれば客離れは防げる?
セルフレジが嫌い・苦手とする人の中には「やったことがないから」という方も少なくありません。
セルフレジを一度でも使ってもらえば、その便利さを知ってもらえる可能性は高いのです。
しかし、「やったことがないからやりたくない」という顧客にセルフレジを使ってもらうためには、何かしらの施策が必要です。
そこでセルフレジを使うことで顧客にメリットがあるサービスを提供する企業や店舗が増えています。
具体例
代表例として大手コンビニエンスストアのファミリーマートで行われている顧客にセルフレジの使用を促すためのキャンペーンを紹介しましょう。
ファミリーマートでは、Suica決済を利用してセルフレジで支払うと割引が適用される「Suica割」キャンペーンを実施しています。
参考:ファミリーマート「【セルフレジ限定】セルフレジでファミマポイントたまる!」https://www.family.co.jp/campaign/spot/2407_famipay-self_cp.html
このようにセルフレジを普及させるためのサービスを行っている企業や店舗も少なくありません。
たとえば、高齢者層向けに定期的なセルフレジ体験イベントの開催を行い、セルフレジ利用への不安を和らげることや、ファミリー層や忙しいビジネスマン向けに時間短縮のメリットを強調する広告やキャンペーンは有効的だと考えられます。
セルフレジによる客離れを防ぐ5つの対処法
セルフレジ導入による客離れを防ぎ、売上を維持するためには、以下のような対策が必要です。
- 顧客教育とサポートの強化
- 多様な支払い方法の提供
- 柔軟なレジ選択の提供
- 店舗デザインとレイアウトの工夫
- フィードバックの収集と改善
セルフレジの客離れを防ぐ1:顧客教育とサポートの強化
セルフレジを利用する顧客にとって最もストレスを感じやすいのが、操作方法がわからない・わかりにくいことです。
このような状況を防ぐため、セルフレジの導入初期には、操作方法を丁寧にサポートするスタッフを配置することがひとつの解決策になります。
スタッフが適切に対応すれば、顧客は安心してセルフレジを利用でき、結果としてリピーターになりやすくなるでしょう。
また、セルフレジの操作ガイドや動画説明を提供することも効果的です。操作が分かりやすくなるだけでなく、顧客がセルフレジに対する抵抗感を軽減する助けになります。
セルフレジの客離れを防ぐ2:多様な支払い方法の提供
顧客のニーズに応じた多様な支払い手段を提供することは、セルフレジの利用促進に直結します。
- クレジットカード
- スマホ決済
- 現金
上記のように幅広い支払い方法を取り入れることで、顧客は自分に合った方法でスムーズに支払いを済ませることができます。
現金が使えるセルフレジがおすすめ
とくに現金が使えないセルフレジの場合、顧客のストレスになりかねません。
現金対応のセルフレジを導入するか、有人レジを残すことで、全ての顧客が安心して利用できる環境を提供できるようになります。
セルフレジの客離れを防ぐ3:柔軟なレジ選択の提供
セルフレジを導入する際には、必ずしも有人レジを廃止する必要はありません。セルフレジと有人レジの併設により、顧客が自分の好みに合わせてレジを選択できる環境を整えることが望ましいです。
また、完全なセルフレジではなく、セミセルフレジを導入するという選択肢もあります。セルフレジとセミセルフレジの違いは以下のとおりです。
- セルフレジ:顧客が商品のスキャンから会計までをすべて自分で行う方式。バーコードを読み取り、支払いも自分で行う。
- セミセルフレジ:顧客は商品のスキャンを行わず、会計だけを自分で行う方式。スタッフが商品のスキャンを担当。
時間帯によって有人レジとセルフレジを使い分ける
また、時間帯によって有人レジとセルフレジを使い分けるという方法もあります。
たとえば、ピーク時にはセルフレジを活用して待ち時間を短縮し、オフピーク時には有人レジでのサービスを重視すると、顧客を満足させやすいでしょう。
セルフレジの客離れを防ぐ4:店舗デザインとレイアウトの工夫
セルフレジの配置や導線の工夫も大事です。顧客が迷うことなくスムーズに利用できる環境を提供しましょう。
とくにレジ周辺のスペースを広く確保し、操作を行う際に他の顧客の目線が気にならないような配置を心掛けることが重要です。
セルフレジはわかりやすいことが重要
また、セルフレジの位置をわかりやすく案内するサインやディスプレイを設置すれば、初めて訪れる顧客も安心して利用しやすくなります。
セルフレジの客離れを防ぐ5:フィードバックの収集と改善
顧客からのフィードバックを定期的に収集し、その意見を基にセルフレジやサービス全般の改善を行うことも重要です。
とくにセルフレジの操作に関する不満や提案を積極的に取り入れると良いでしょう。
セルフレジが抱える客離れ以外の問題点
セルフレジ導入には客離れ以外にも問題点があります。とくに、万引きや不正行為の増加が報告されていることに関しては知っておいたほうが良いでしょう。
たとえば、セルフレジを使用する消費者の約72%が、セルフレジによって万引きが容易になったと認めており、さらにセルフレジによる小売盗難は全体の在庫価値の約4%を占めていることがわかっています。
また、カナダでは小売店で発生する万引きの40%がセルフレジを通じて行われているというデータもあります。
これらの数字は、セルフレジでの不正行為が増加していることを示しており、監視カメラやAIによる動作監視などのセキュリティ対策が必要です。
Deal Aid:https://dealaid.org/data/self-checkout
無意識にセルフレジで不正を行っていることも
悪意がないのにも関わらず、結果的にスキャンをし忘れてしまい、お金を払わずに商品を持ち帰ってしまった経験がある顧客も一定数いるようです。
このように、セルフレジは人件費削減などには大きな意味があるものの、まだまだ改良の余地や店舗側からのサポートが必要な部分も否めません。
参考:PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000385.000044347.html
客離れを防ぐ!おすすめのセルフレジ
セルフレジには多くの種類があるため、ここではおすすめのセルフレジを厳選して紹介します。これからセルフレジを導入しようとしている方は、是非こちらの商品をご検討ください。
旭精工(株)
「つりペイ君」
コストパフォーマンスに優れた小型自動精算機
「つりペイ君」は横幅45cm×奥行45cmの非常にコンパクトな自動精算機です。クリニックを中心に100ヵ所以上で導入して頂いております。
旭精工(株)
「デジレジ」
デジタル時代の会計は、これで決まり。
「デジレジ」は横幅46cm×奥行45cmの非常にコンパクトな自動精算機です。製品面積は他社に比べて約20%程小さく、限られたスペースにもすっきりと設置できます。
Nayax(株)
Nova Market
最もシンプルでスタイリッシュな一体型セルフレジ端末
シンプルなUI/UXでだれでも簡単にキャッシュレス 食券機としても活用可能なセルフレジ端末
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セルフレジ導入による客離れを防ぐ:まとめ
セルフレジの導入は、労働力不足や業務効率化の観点から非常に有効な手段ですが、顧客対応を怠ると、客離れや売上減少というリスクを伴う可能性があります。
顧客ニーズに応じたサポートやサービス提供を徹底し、定期的なフィードバックを基に改善を繰り返すことが成功の鍵です。