数多くの企業や店舗から「良い人材が定着しない」という声をよく耳にします。
そのような店舗や企業が「常に求人を出している」状態から脱するために、離職率が低い店舗や企業の共通点を4つにまとめ、具体的な改善のヒントを提供します。
1年以内の平均離職率は約15%
厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概況」によれば、2023年の日本全体の離職率は15.4%でした。 この数値は1年間に全労働者のうち約15.4%が離職したことを示しています。離職率は、毎年多少の振れ幅はあるものの、概ね15%前後の数値に落ち着いています。
業種によって離職率の平均は異なるのはもちろんですが、1年以内に20%以上が辞めるようなら離職率の高い職場と考えられるでしょう。
一方、1年以内の離職率が5%未満なら、離職率の低い職場と言えそうです。
代表的な離職率の低い企業
では、具体的にどの企業の離職率が低いのでしょうか?
知名度の高い企業の中から、2021年の離職率の低い企業をまとめましたので、こちらをご覧ください。
企業名 | 業種 | 離職率(%) |
三井不動産 | 不動産業 | 0.6 |
カルビー | スナック菓子メーカー | 1.7 |
任天堂 | ゲームの開発・製造・販売 | 1.7 |
花王 | 大手消費財化学メーカー | 1.7 |
いずれも大企業ですが、業種は異なります。つまり、どの業種であっても離職率の低い企業や店舗は存在するのです。
参考:東洋経済オンライン「離職率が低い大企業ランキングトップ100社」
離職率が低い店舗・企業のメリット
では、離職率が低い店舗や企業には、どのようなメリットがあるのでしょうか?代表的なメリットを紹介しましょう。
- 生産性の向上:従業員が長く働くことで、業務に習熟し、効率的に仕事をこなせるようになります。
- コスト削減:採用活動や新人育成にかかるコストは最小限です。
- ブランド力の向上:働きやすい企業との評判が広がると、優秀な人材が自然と集まりやすくなります。
離職率が低いことに対して、企業にはメリットしかありません。
離職率が低い店舗・企業の特徴4選
多くの場合、現在の離職率が低い店舗や企業も、初めから低かったわけではありません。「離職率を下げるための努力や試み」を行い、成功したからこそ離職率を下げることができたのです。
では、離職率の低い店舗や企業の特徴を見ていきましょう。
特徴1:働きやすい環境
労働時間が長すぎたり、休みが取りづらい職場では、従業員が疲弊しやすくなります。離職率が低い企業は、労働環境の整備に力を入れています。
具体例
ソフトウェアの開発会社サイボウズは、もともと2000年代前半は離職率が20%前後もある、極めて離職率の高い企業でした。しかし、社員の働き方を大きく変えたことで2012年以降、離職率を3~5%程度にまで下げることに成功しています。
テレワークや育児休暇はもちろん、情報共有クラウドやバーチャルオフィスを整備し、社内コミュニケーションをしやすくしてのも成功理由のひとつのようです。
参考:THE HYBRID WORK「離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史」
特徴2:企業のビジョンや価値観が共有できている
企業や店舗の目指す方向性が明確で、それぞれの従業員との間でもしっかり共有されている企業は離職率が低い傾向にあります。「自分の仕事が企業の成長にどう貢献しているのか」を実感できると、従業員はやりがいを持って働けるようになります。
具体例
食品パッケージの総合商社、株式会社ブンシジャパンでは、社員を第一に考える経営を実践し、全ての経営情報を社員に公開することで、評価や収入に対する納得感を高めています。この取り組みにより、社員同士の信頼関係が強化されています。
参考:bunshi japan
特徴3: 評価制度が公正
努力が正当に評価されない環境では、従業員の不満が溜まり、離職につながります。評価基準や昇進基準を明確にし、誰もが納得感を持てる制度を整えることが重要です。
具体例
リクルートホールディングスでは、成果主義に基づく明確な評価・昇進基準を設け、従業員のモチベーションを高めています。
評価プロセスの透明性を確保し、従業員が自身のキャリアパスを理解できるようサポートしています。この取り組みにより、優秀な人材の定着率が向上しています。
ちなみにリクルートホールディングスの離職率は、有価証券報告書によると、2023年度で約8%程度です。
特徴4:キャリアパスが明確
従業員は、自分がどのように成長できるのかを明確に知りたいと考えています。企業がキャリアパスを明示し、長期的な視点での育成プランを提供することで、従業員のモチベーションが向上します。
具体例
製造メーカー株式会社リコーでは7つの人材タイプを定義し、それぞれに応じたキャリアパスを設定しています。これにより、従業員は自身のキャリアの方向性を明確にし、必要なスキルや経験を積むことができます。
この取り組みにより、女性管理職の比率が2000年度末の8人から2014年度末には110人へと増加するなど、多様な人材の活躍が促進されています。
株式会社リコー単体としての2023年度の離職率は2.7%と極めて低いものでした。
参考:mitsucari「キャリアパス制度を活用した企業事例とは?離職率改善や女性の活躍推進にも!」
離職率が高い企業との違い
対照的に、離職率が高い企業では以下のような特徴が見られます。
- 一貫性のない指示や評価制度の不透明さ
- 長時間労働や休みが取りづらい環境
- 管理者との信頼関係が希薄
これらの特徴は、従業員のストレスを増大させ、離職を加速させます。逆に言えば、これらの問題を解消することで離職率を下げる余地があるということです。
離職率を改善するための3ステップ
離職率の改善1:従業員満足度調査の実施
現状の問題点を把握するために、従業員の満足度を定期的に調査しましょう。匿名で回答できるアンケート形式がおすすめです。
離職率の改善2:改善案の優先順位付け
調査結果を基に、取り組むべき課題の優先順位を決定します。まずは効果が出やすい施策から着手すると良いでしょう。
離職率の改善3:専門家への相談
人事の専門家やコンサルタントにアドバイスを求めるのも有効です。とくに評価制度やキャリア支援の設計には専門的な知識が役立ちます。
離職率低下のためのおすすめツール
ここでは離職率を下げるために役立つツールやサービスを厳選して紹介します。
(株)LiLight
Thelica
ありふれた日常に小さな光を。
「テレワークに光を!」 テレワーク導入の様々な課題に対し、セキュリティリスクの分析と共に、最適なセキュリティ製品をご提案いたします!構成や予算、導入時期も柔軟に対応いたします!
(医社)エムズ
クリニックフォア
健康経営、女性活躍推進に、オンライン診療を
クリニックフォアの福利厚生サービスは、健康経営・女性活躍推進といった企業課題の解決にオンライン診療を導入することで、従業員のヘルスリテラシー・ウェルネスを向上させるサービスです。
ジャスミー(株)
ジャスミーセキュアPC
働き方改革を推進する ジャスミー働き方改革DXシリーズ
利用ライセンス数5000件以上!持ち出しPCの管理・データ漏洩対策、稼動ログを使った勤務実態の把握、作業工数分析まで働き方改革に必要な機能をインストールするだけで簡単に実現
(株)Onikle
NapAnt
社内情報を一括検索する生成AI搭載インサイドエンジン
NapAntは社内で利用しているSaaSアプリケーション(Microsoft365、Box、Salesforceなど)やクラウド上のデータを一括で横断検索するシステムです。
※こちらの製品情報の閲覧には「DXPOオンライン会員登録」が必要です。
離職率が低い店舗・企業の特徴4選:まとめ
離職率を低下させるためには、経営者や管理者が従業員の立場に立ち、環境を改善する努力を続けることが不可欠です。現在、離職率の高さで悩んでいる経営者や管理者の方は、是非この記事の内容を参考にしてください。離職率の低下は、最終的に企業の飛躍へと繋がります。