離職率の増加は、経営に大きな影響を与える重要な課題の一つです。しかし、実際のところ、多くの経営者や管理者は離職の本当の理由を理解していません。社員が離職する真の理由を知らない限り、離職率は高いままで変わらないでしょう。
この記事では、経営者や人事担当者が見逃しがちな「本当の離職理由」を掘り下げ、社員の定着率を向上させるための具体的な対策をご紹介します。
表面的な理由と「本当の理由」の違い
社員が離職する理由としてよく挙げられるのが、報酬やキャリアパスの問題です。しかし、それはあくまで建前のケースも少なくありません。
とくに辞めた社員が同じ業界内に転職している場合は、人事担当者や経営者が想定していなかった理由で離職していることも多いのです。
離職した社員はなぜ本当の理由を言わずに辞めてしまうのか、そしてその本音とはどのようなものか、具体的に探っていきましょう。
社員が離職する本当の理由
人事担当者や経営者が把握しきれていない、社員が離職する本当の理由。代表的なものは以下の4つです。
- コミュニケーション不足
- 評価されない
- 価値観の不一致
- ストレス
本当の離職理由1:コミュニケーション不足
社員が自分の意見を言いづらい風土があると、次第にモチベーションが低下します。
上司からの一方通行な指示が続くと、社員は自身の存在意義や役割を見失いがちです。とくに上司からのフィードバックが不足していると、業務の進め方や目標設定に対して、社員は不安で仕方ありません。
もしも、特定の上司が抱える部下の離職率が高いのなら、問題はその上司にある可能性が高いです。
本当の離職理由2:評価されない
多くの社員が「正当に評価されていない」と感じると、やりがいや達成感が失われてしまいます。
給与や昇進といった目に見える報酬は当然ですが、日常的なフィードバックや感謝の言葉も、モチベーションの維持には大きな役割を果たします。
上司の立場にいる人達は、社員の小さな成果や進歩をきちんと認めているでしょうか?
酷い上司の場合、部下の頑張りを自分の手柄にしてしまっている人もいます。企業の経営者や管理者は、そこをチェックする必要があるでしょう。部下を育てられる人が、本当の上司です。
本当の離職理由3:価値観の不一致
企業文化が社員の期待や信念と合致していない場合、徐々に不満が積み重なります。
たとえば、自由なアイデアを歓迎する文化でない職場や、保守的で変化を拒むような体質が強い企業は、社員にとって魅力的な職場にはなり得ません。
また、何のための仕事だか不透明な仕事は、社員のモチベーションを著しく下げるため、離職の大きな原因になります。
「やりがい」は社員の定着に、必ずしもつながるわけではありません。しかし、あまりにもやりがいのない仕事は、立派な離職理由になります。
本当の離職理由4:ストレス
長時間労働やストレスが蓄積する環境では、社員の健康が損なわれ、次第に仕事へのモチベーションも低下します。とくに現代では、多くの企業で働き方の柔軟性が重視されているのはご存知でしょう。
リモートワークやフレックスタイムなどの導入が進んでいる中で、これらの柔軟な働き方を提供しない企業は、他の職場と比べて不利になりがちです。
たとえば、リモートワークで済む仕事なのに、出社を強要される。
これは人によっては、大きなストレスになります。一時期、リモートワークを採用していて、その体制で業務が回っていたのにも関わらず、出社を強いている企業は今一度勤務体制を見直したほうがいいかもしれません。
離職者を増やさないために経営者・管理者が取るべき対策
離職リスクを低減し、社員の定着率を向上させるためには、経営者や管理者が積極的に環境改善を図ることが不可欠です。離職率を増やしたくないのであれば、以下の5つの対策を行なってみてください。
- コミュニケーションの改善
- キャリアパスの明確化
- 社内文化の再構築
- 健康と柔軟な働き方の推進
- 適正な評価制度の導入
離職者を増やさないための対策1:コミュニケーションの改善
オープンで信頼できるコミュニケーションの場を設けることが重要です。定期的な1on1ミーティングを通じて、社員の意見や不満をヒアリングし、対応策を講じることが離職防止につながります。
意見を受け入れるだけでなく、会社の方針や期待を明確に伝えてあげてください。そうすることで、信頼関係を築くことができます。
離職者を増やさないための対策2:キャリアパスの明確化
キャリアの成長機会を社員に提供し、将来のビジョンを共有することが必要です。
社員がどのようなキャリアパスを望んでいるのかを把握し、スキル向上のための研修やメンター制度を整えることで、企業内での成長意欲を引き出しやすくなります。
それぞれの社員に対してわかりやすく目標を与えてあげることも、上司の役割のひとつなのではないでしょうか。
離職者を増やさないための対策3:社内文化の再構築
企業の価値観を社員と共有し、共感を育むために、社内文化の再構築を行うことも有効です。
たとえば、チームビルディング活動や、企業のビジョンを改めて浸透させるための取り組みが有効です。企業文化が社員にとって共感できるものであれば、離職率は大きく改善するでしょう。
離職者を増やさないための対策4:健康と柔軟な働き方の推進
健康を第一に考え、リモートワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方を推進することも効果的です。
とくに、一度はリモートワークを採用したのにも関わらず撤廃した企業は、どうしてリモートワークではいけなかったのかをもう一度、考え直してみてください。
リモートワークを求めている社員は、けっして少なくありません。
社員が自身のライフスタイルに合わせて働ける環境を提供することで、ワークライフバランスが保たれ、長期的に働き続けやすい職場を実現できます。
離職者を増やさないための対策5:適正な評価制度の導入
公正で透明性の高い評価基準を導入し、日常的にフィードバックを行うことが大切です。感謝や称賛の言葉がけを積極的に行うことで、社員は自己成長や貢献意欲を感じやすくなります。
公平な評価とともに、成果に応じたインセンティブを整えることで、社員のモチベーション向上が期待できます。
社員の離職率を下げるためのサービス
正当な人事評価をするためには以下のサービスが役立ちますので、よかったらご利用ください。
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コムネット(株)
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まとめ:本当の離職原因に向き合う
社員の離職を防ぐためには、表面的な理由だけでなく、本当の離職原因に向き合うことが重要です。それぞれの社員に日々の業務で感じる悩みや不安をヒアリングする仕組みを整え、早めに対応することで、彼らが安心して働ける環境をつくることができます。
このような施策は、早ければ早いほど良いですし、手間はかかってもコストはかかりません。
結局のところ、社員の本当の離職原因に経営者や管理者、人事の人間達が向き合えているかどうかで、全ては決まります。