データ分析は、大企業だけが行うものではありません。中小企業にとっても売上増のために的確な選択や判断をし、経営リソースを効率的に投入するうえでの最高の武器になりえます。そして、近年ではChatGPTを活用したデータ分析に注目が集まっています。
ChatGPTを活用することで、プログラミングや高度なデータ分析ツールの知識がなくても、データ分析の一部を支援することが可能です。指令文(プロンプト)を使って基本的な分析やレポートを日本語で行うことができます。
ChatGPTを使ってデータ分析を行えば、これまで勘と経験に頼っていた販売実績の見直しに役立つでしょう。この記事では、そのような分析を日本語で行うことを可能にする〈ChatGPTのデータ分析支援機能〉を中心に、中小企業がデータ分析で競争力を高める5ステップをお伝えします。
データ分析の5ステップ
ステップ1. 社内に蓄積されている経営データを棚卸しする
比較的IT化が進んでいることが多い大企業と比べて、中小企業のデータ分析を阻む最大の壁は、デジタル化されたデータそのものが不足していることです。
しかし、デジタルデータは社内に意外とあるものです。どんな企業でも会計ソフトや販売管理ソフトを使っていることでしょう。それらのソフトには、内部に蓄積されたデジタルデータを取り出す機能が付属していることがあります。たとえばソフトウェアのいくつかは、CSV(Comma-Separated Values)と呼ばれる形式でデジタルデータをテキスト形式でダウンロードすることができます。
データをテキスト形式でダウンロードすれば、そのテキストデータをChatGPTで読み込んで基本的な分析の支援を受けることが可能です。
どうしてもデジタルデータが不足している場合、デジタルデータを集める活動を起ち上げる必要があります。たとえば、紙の帳票データや手書きのデータをExcelに入力するといった作業です。手に入るデータからデータ分析を行い、ChatGPTでの分析をまずは経験することをおすすめします。
ステップ2. データ分析の目的を定める
企業経営のデータ分析において、データ分析の対象となる項目は多岐にわたります。以下にいくつかの例をあげます。
- 販売データ:売上高や売上構成比、各販売チャネルごとの売上データ
- 顧客データ:顧客属性や購買履歴、顧客満足度など
- 財務データ:損益計算書、賃借対照表、キャッシュフローなど
- 在庫データ:各製品の在庫量、在庫回転率、在庫コストなど
その他、マーケティングデータや生産データ、物流データなどがあることでしょう。
どのようなデジタルデータが手元にあるのかを第一に、競争戦略立案の観点からデータ分析の重点目標を設定することをおすすめします。
ステップ3. データをクリーニングする
仮にここでは、販売管理ソフトからCSVでデータをダウンロードし、手元にCSVファイルの準備ができたとします。このようなデータには、欠損がある、データのばらつきがあるなどの問題が一般的ですから、まずはデータのクリーニングを行いましょう。ChatGPTは基本的なデータクリーニングの支援を行いますが、専門的なツールや手動操作が必要な場合もあります。
- データのアップロード: データファイル(CSVやExcelファイルなど)をアップロードする。
- データの確認:ChatGPTに、たとえば指令文(プロンプト)「このデータセットの先頭5行を表示してください」を打ち込む。
- 欠損値の確認と処理:「欠損値のあるカラムを教えて」、「欠損値を各カラムの平均値で埋めてください」と指示する。
- データの型変換:たとえば「適切な日付形式に変換してください」と指示する。 異常値の検出と処理: 「異常値を検出して報告してください」、「異常値を削除してください」と指示する。
- データの標準化・正規化:たとえば「数値データを標準化してください」と指示する。 ダウンロード: 必要に応じてクリーニングしたデータをChatGPTからダウンロードすることもできる。
ステップ4. ChatGPTでデータを分析する
ステップ3でクリーニングしたデータを分析します。クリーニング済みのデータをダウンロードした場合は再度、そのデータをアップロードしてChatGPTに読み込んでください。ChatGPTは基本的な分析支援を行いますが、高度な分析には他のツールが必要です。
- 時系列データの解析:時系列データを用いて、売上のトレンドを解析する。たとえば「日次売上のトレンドを分析し、視覚化してください」と指示することで、視覚的に分かりやすいグラフが生成できる。
- 顧客セグメント分析:「顧客データをクラスタリングし、各クラスタの特徴を説明してください」と指示することで、顧客セグメントに関する詳細な分析結果を得ることができる。
- 売上予測モデルの構築:売上予測モデルを構築する。「販売データを用いて売上予測モデルを構築し、モデルの評価を行ってください」と指示し、モデルの評価指標を確認する。
ステップ5. 分析結果を見える化し報告する
分析結果を「見える化」して他者に報告するステップは以下のとおりです。
- 分析結果の要約:たとえば「販売データ分析の結果を要約してください。主な発見事項、重要な指標、および全体的な傾向を含めて報告してください」と指示する。
- 視覚化グラフの作成:分析結果を視覚化するためのグラフやチャートを作成する。視覚化することで、結果が直感的に理解しやすくなる。たとえば「売上トレンドと顧客セグメントの特徴を視覚化するグラフを作成してください」と指示する。
- 詳細な分析結果の記述:各分析結果の詳細を記述する。たとえば「各分析結果の詳細を記述してください。トレンド分析、顧客セグメンテーション、売上予測の結果とその解釈を含めてください」と指示する。
- 結論と提言の報告:分析結果に基づいて結論をまとめ、今後の施策に対する提言を求める。たとえば「分析結果に基づいて結論をまとめ、今後の施策に対する提言を行ってください」と指示する。
補足
なおこの記事で紹介した〈ChatGPTのデータ分析支援機能〉は有料版でしか使えないことにご留意ください。またGoogle Geminiなど、他の生成AIでも指令文を入力するだけで同様のデータ分析支援が可能です。たとえば有料版のGoogle Gemini Advancedには、さらに高度なデータ分析ができる機能が備えられています。
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社内にあるデータの棚卸し以降、「ステップ2.データ分析の目的を定める」から「ステップ5.分析結果を見える化し報告する」までを、ChatGPTが指示文に従って支援します。これらの手順にかかる時間は、ごく僅かです。
ChatGPTは、データ分析から見える化および報告までを支援します。しかもそれらすべては「日本語による指示文」を打ち込むだけでよいのです。これからデータ分析を本格的に行おうとしているのであれば、「ステップ1. 社内に蓄積されている経営データを棚卸しする」から小さな一歩を踏み出してはいかがでしょうか。勘と経験に頼った判断に加えてデータ分析の裏付けを得ることができれば、競争力を高める戦略立案に役立つに違いありません。
判断に加えてデータ分析の裏付けを得ることができれば、競争力を高める戦略立案に役立つに違いありません。
なお、新たなシステム導入やサービスの利用に関して稟議書が必要な場合は以下の記事を参考にしてください。