営業職の離職率は他の職種に比べて高い傾向があります。
そして、営業職の彼らが「辛い」「辞めたい」と感じる主な理由は「ノルマがきつい」「長時間労働が辛い」といったものです。本記事では、営業職が離職するこれらの原因への対策について、徹底的に深掘りしていきます。
社会全体の離職率を知る
まず、新規大卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率を見てみましょう。
産業別で離職率が高い産業は以下のとおりです。それぞれの産業には多くの場合、営業職が含まれています。これらの産業の営業職に関しては、より離職の注意が必要です。
(3年以内の)離職率 | |
飲食業・宿泊業 | 56.6% |
生活関連サービス・娯楽業 | 53.7% |
教育・学習支援 | 46.6% |
小売業 | 41.9% |
医療・福祉 | 41.5% |
参考:厚生労働省「新規大卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率(令和3年3月卒)」
8割以上の営業職が「辛い」と退職を検討
また、PR TIMESが2021年に行った「営業職の退職動機に関するアンケート」によると、営業職のうち退職を検討したことがある方は約80.8%、実際に(現在)転職や独立に向けて動いていると答えた人は58.9%という結果が出ています。
参考:PR TIMES「「営業 辞めたい、つらい。」6割弱の営業が現在、退職を検討しているという結果に。会社を支える営業職の退職動機に関するアンケート結果発表」
「辛い」で離職者が増えるとどうなる?
離職が増えると企業には多大なコストがかかります。
採用費や教育費だけでなく、営業活動の停滞による売上の減少も避けられません。ですから、離職の原因をしっかりと理解し、適切な対策を講じなければ、企業は生き残っていけないのです。
辛い!辞めたい!営業職の離職理由は「ノルマ問題」と「長時間労働」
経営者や管理者が「本当の離職理由」について考えなければ、離職率はいつまで経っても下がりません。延々と社員募集を繰り返し、募集費ばかりを払い続ける羽目になります。
では、ここからは営業職が離職する代表的な理由である「ノルマ問題」と「長時間労働」について深く掘り下げます。
営業職の離職理由1: ノルマ問題
営業職の象徴とも言えるのが「ノルマに追われる日々」です。企業の管理職や経営者にとっては、それぞれの営業職にノルマを科したいのは自然でしょう。しかし、ノルマを科せられている当人たちにとっては、大きな離職理由になっています。
2021年12月に株式会悠楽によって行われたアンケートによると、47.5%が営業職としての悩みとして「売上ノルマをなかなか達成できない」としています。
では、なぜ彼ら営業職はノルマを達成できないのでしょうか?
参考:SalesZine「営業職の悩み 2人に1人が「売上ノルマを達成できない」と回答/悠楽調査」
営業職がノルマを達成できない理由
営業職がノルマを達成できない代表的な理由が以下の3つです。
- 製品・サービスの良さをうまく伝えられない
- コミュニケーションを取るのが得意ではない
- 単発の仕事ばかりで次に繋がらない
ノルマ未達成の営業職はどうなる?
一部の企業ではノルマ未達成の営業職に対して、以下のような行動が取られることもあります。そして、これらの企業側の行動が彼ら営業職が「辛い」「辞めたい」と感じる原因にもなっています。
- 上司からの叱責やプレッシャー:一部の企業では、ノルマ未達成に対して厳しい叱責を受けたり、「アポを取るまで帰れない」といった圧力をかけられるケースがあります。
- 長時間労働の強要:ノルマ未達成を補うために、営業マンが残業や休日出勤を余儀なくされる場合があります。
- ペナルティを与える:ノルマ未達成を理由に給与の減額や、サビ残を命じるような行為があります。
ノルマ未達成に関する違約金は違法
しかし、このようなノルマ未達成の営業職に対して、なんらかの罰則を与えてしまうと労働基準法第16条に接触する可能性があります。
従業員の労働契約の不履行を防止するため、不履行の場合の違約金を定めたり損害賠償を予定す る契約を結んではならない。
(例) ア 途中でやめたら違約金を払え イ 会社に損害を与えたら○○円を支払え
引用:厚生労働省「労働基準法」
自爆営業の強要は違法
また、ノルマをこなせない社員に対して自社商品の購入を強制するいわゆる「自爆営業」を勧める企業もありますが、自爆営業に関しては2024年11月の日本経済新聞から以下のような記事がリリースされました。
ノルマを達成するために自腹で商品を買い取る「自爆営業」について、厚生労働省はパワハラに該当する場合もあるとして指針に明記する方針だ。自爆営業は法律上の規制が明確でなく、放置されている事例も多い。企業に注意喚起して未然防止を促す。
自爆営業はこれまでも日本郵便をはじめ、コンビニ業界やアパレル業界などあちこちで問題になっています。
これまでは法律上の規制が明確ではなかったため行われていたと推測されますが、今後は自爆営業を行わせる企業には何らかのペナルティが科される可能性があります。
日本経済新聞:「「自爆営業」はパワハラ、厚労省が明記へ」
営業職の離職理由2:労働時間が長い
ノルマ問題があるため、営業職は他の業種と比較すると長時間労働になってしまう可能性が高いです。また、彼ら営業職が長時間労働になってしまうのは、ノルマ問題とは別に「取引先のスケジュールに合わせなければならない」という理由もあります。
営業職の労働時間は取引先にも左右される
自社の労働時間と取引先の労働時間が、必ずしも合っているとは限りません。もしも働く時間帯や休日がズレていた場合、営業職は本来の労働時間とは別の時間に働く必要も出てきます。
休日なのに仕事をしているような状況が続けば、営業社員が慢性的な疲労を抱えるだけではなく、家族関係にも悪影響を及ぼし結果、離職せざるをえなくなることは少なくありません。
長時間労働に関する罰則
ただし、長時間労働が労働基準法違反に該当してしまうことも少なくありません。具体的なケースをいくつか挙げます。
- 36協定違反による長時間労働:36協定を結んでいないにも関わらず残業を命じたり、協定で定めた上限を超える残業をさせた企業は、罰金や是正勧告が科されるだけでなく、悪質な場合は企業名の公表に至ります。
- 残業代未払い:時間外労働は当然、残業代の対象です。従業員に定められた残業代を支払わなかった企業に対して、労働基準法第37条違反として罰金刑を科された事例もあります。
- 精神的・身体的自由の拘束による強制労働:営業職などで「労働時間の圧力」をかけたり、退職を阻止するために脅迫的な態度を取った場合、強制労働とみなされ、1年以上の懲役や高額な罰金が課せられる場合があります。
辛い!辞めたい!と感じる営業職のノルマ問題・長時間労働問題への対策
ノルマ問題や長時間労働問題をクリアにしていくためには、企業側からの働きかけも大事です。これらの問題から離職率が高い企業の方は、以下の対策をご検討ください。
- 労働時間の柔軟化: テレワークやフレックス制度を導入すれば、移動時間の削減や柔軟な働き方を実現しやすくなります。
- 業務効率化ツールの活用: 営業支援システム(SFA)の導入で事務作業や情報共有の効率化が図りやすくなります。
- ワークシェアリング: 業務を複数人で分担するジョブシェアリングを活用することで、営業職の長時間労働を減らすことができます。
- メンタルヘルスケアの強化:悩んでいても誰にも相談できずに抱えてしまう社員も少なくありません。彼らが相談できる環境を整えてあげましょう。
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辛い!辞めたい!営業職の離職問題を食い止めるために:まとめ
営業職の離職理由について紹介しました。企業側の予算などで、実現するのが難しい対策もあったかもしれません。しかし、それでも管理者や経営者が、営業職の離職を食い止めるために色々と考えている企業は、離職率を下げることができるでしょう。
大事なのは自社の離職率の高さから目を逸らさずに、対策を講じ続けることです。そのためにこの記事の内容が参考になれば幸いです。