DX (デジタルトランスフォーメーション)は現代のビジネスにおいて不可欠な要素です。そして、DXは単なる一時的なプロジェクトではありません。組織文化に浸透させるような持続的な変革でなければ意味がないのです。
そのような変革を実現するためには、特定のステップと注意点が必要です。本記事では、DXを社内で定着させるための実践的な手順をステップ式で紹介します。
今、DXを社内定着させる必要がある理由とは?
なるべく早くDXを社内定着さなければならない理由はいくつかあります。
まず、労働人口減少に伴う働き方改革です。少子高齢化が進む中、企業は少ない人員で生産性を最大化させなければなりません。そのため、社内DXを進めてデータのデジタル化やデジタルツールの導入を行い、テレワークや時短勤務など多様な働き方に対応できる環境を整えることが重要です。
また、「2025年の崖」という問題にも対応する必要があります。経済産業省が公表したDXレポートによれば、2025年にはIT人材不足や基幹システムのレガシー化など大きな変化が訪れると言われています。社内DXを進めてシステムの見直しやIT人材の確保を行うことで、これらの問題に対処する必要があるのです。
さらに、BCP(事業継続計画)対策の強化も重要です。社内DXを行い、データをクラウド上に保存するようになれば、災害時にもデータを損失しない環境を整えることができるでしょう。また、ビジネスチャットやオンライン会議を活用することで、テレワークでも円滑なコミュニケーションが可能となり、事業の継続を確保しやすくなります。
DXを社内で定着させるための4つのステップ
DXを社内で定着させるためのステップを以下の順序でお伝えします。
- ステップ1 経営陣がDXの価値を理解する
- ステップ2 従業員の教育とトレーニング
- ステップ3 インナーマーケティング戦略の構築
- ステップ4 持続的な改善とフィードバック
ステップ1 経営陣がDXの価値を理解する
DXを成功させるためには、まず経営陣がDXの価値を理解することが求められます。そのためには、業界の最新動向や競合他社のDX実践事例を積極的に研究する必要があるでしょう。またそれらの情報は、組織内で共有するべきです。
次に、経営陣はDXのビジョンや目標を明確に設定します。そして、掲げた目標を組織に浸透させることを目指しましょう。経営陣がリーダーシップを発揮して、変革の進捗を監視することで、組織全体が一丸となってDXの実現に向けて進むことができます。
ステップ2 従業員の教育とトレーニング
続いては従業員達への教育とトレーニングです。彼らにDXの理解を深めてもらい、新しいデジタル技術やプロセスへの適応力を向上させるために、組織全体にトレーニングプログラムを展開させましょう。デジタル技術の基礎から応用までを包括し、従業員が変化に適応するためのスキルを効果的に身につけることを目的とします。
従業員のトレーニングにおいては、ワークショップや実践的な演習が重要な有効です。理論だけではなく、具体的なケーススタディやシミュレーションを通じて、実際の業務にDXの知識やスキルをどのように適用できるかを学ばせてください。このような実践的なアプローチを取ることで、新しいプロセスやツールに対する抵抗感が低減します。従業員達も積極的な気持ちで変革に参加しやすくなるでしょう。
トレーニングは一度きりではなく、継続的かつ柔軟に進める必要があります。また、トレーニングの成果はきちんと評価して、従業員からのフィードバックを収集することも忘れてはいけません。評価やフィードバックがあってこそ、プログラムは効果的なものになるのです。
ステップ3 インナーマーケティング戦略の構築
組織内での情報共有を強化するためには、クリアで効果的なコミュニケーションプランが必要です。DXの進捗や成果をわかりやすく伝え、関係者が容易に情報を得られる仕組みを整備しましょう。この際に大事なのは、以下の2点です。
- DXのメリットや具体的な利益を強調すること
- テクニカルな用語は極力避けること
たとえば、定期的なニュースレターや社内報、デジタルメディアを活用して、DXにおけるポジティブな展開や取り組みをメンバーに広く共有します。そして、共有する際には誰もがわかりやすい言葉で伝えることです。
インナーマーケティング戦略においては、組織文化に即したアプローチが求められることも少なくありません。組織の価値観やミッションに基づき、DXがこれらにどのように貢献するかを明確に伝えることで、メンバーのDXへの理解と共感が深まります。
ステップ4 持続的な改善とフィードバック
持続的な改善サイクルを確立するためには、組織内での学習と成長を促進する文化を構築することが重要です。そうすることで従業員は、新しいアイディアやベストプラクティスを積極的に共有しやすくなり、組織全体も彼らのアイディアを取り入れやすくなります。持続的な変革は「積み重ねの結果」でしかありません。
従業員からフィードバックがあった際には、ときには組織にとっての重要な課題と受け止め、迅速かつ適切に対応する必要があるでしょう。従業員や関係者からの意見や感想は、収集するだけでは意味がありません。対応してこそ、フィードバックを得る仕組みが重要になってくるのです。
持続的な改善とフィードバックは、DXを組織に根付かせ、絶え間ない進化を遂げるためのカギと言えます。変革は一度の取り組みではなく、絶え間ない学びと適応の連続です。組織がこのサイクルを着実に回し続けられれば、DXによる本質的な変化を遂げやすくなります。
DXが社内定着しない主な要因
システムが定着化しない主な要因には、いくつかのパターンがあります。
- ユーザーへの十分な教育・トレーニング不足:システム導入後、利用者が適切なトレーニングを受けずに使い方を理解できないことがあります。
- ユーザーフレンドリーでないシステム:使いにくいシステムはユーザーにストレスを与え、利用意欲を低下させます。
- 導入目的やメリットの共有不足:システム導入の目的やメリットが利用者に伝わらないと、システムは必要性を感じずに使われないことがあります。
DXを社内で定着させる際の注意点
続いては、DXを社内で定着させる際の注意点です。ここではとくに大事なポイントとして、以下の2つを紹介します。
- 文化の適合性
- セキュリティとコンプライアンス
文化の適合性
DXを組織内で定着させる際に特に重要な注意点の一つは、文化の適合性です。組織の文化はその性格や価値観を反映しており、DXの導入がこれに適合しない場合、変革プロセスは順調に進まない可能性があります。
まず、組織の文化を正確に理解し、DXが既存の文化とどのように調和できるかを洞察することが重要です。組織文化とは具体的に、コミュニケーションスタイル、意思決定プロセス、リーダーシップの在り方などを指します。これらの要素を分析し、DXがこれに適合するかどうかを評価しましょう。
文化の変革は時間がかかるプロセスなので、焦らず根気よく進めることが不可欠です。急激な変化は求めてしまうと、組織内で抵抗を引き起こす可能性があり、従業員達が変革に対応する余裕を持たないかもしれません。段階的なアプローチや徐々に変化を導入することで、組織全体が変革に適応しやすくなります。
セキュリティとコンプライアンス
DXを組織内で定着させるためには、セキュリティとコンプライアンスに対する注意が欠かせません。新しいデジタルプロセスやテクノロジーの導入に伴い、セキュリティの脅威や法的な規制への対応が不可欠となります。組織の変革を安全かつ法的に進めるためには、どうしても避けられない部分なのです。
DXプロジェクトを開始する際に、セキュリティの専門家や法的アドバイザーを組織に組み込むと効果的です。彼らが早い段階からプロジェクトに参加してくれれば、潜在的なリスクや法的なコンプライアンスに関するアドバイスを提供してくれるでしょう。プロジェクトのスタート前からセキュリティとコンプライアンスが考慮されていれば、実行フェーズでの問題が最小限に抑えられます。
DXを社内定着させるためのおすすめサービス
自分達だけでは、社内にDXを定着させるのが困難な場合もあります。そのような時は外部サービスを活用してみてはいかがでしょうか。ここでおすすめのサービスを紹介します。是非ご検討ください。
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まとめ
DXを社内で定着させるためのステップならびに注意点について解説をしました。これから本格的なDXに取り組む企業の方は、この記事での内容を参考していただければ幸いです。