近年、消費者からの信頼を守るための景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)やステルスマーケティング(ステマ)に対する規制が見直されています。顧客との信頼関係が不可欠なマーケティング戦略において、基礎知識ともいえる景品表示法の知識は、企業や広告の担当者が「知らなかった」では済まされないこともある重要な留意点とも言えます。
この記事では景品表示法の違反事例と、ステマと言われないための効果的な対処法を詳しく解説します。
簡単に理解できる!景品表示法
景品表示法は1962年から施行され、これまでに何度も改正を重ねてきました。2024年10月にも改正が行われたことで、注目が集まっています。
景品表示法とはどんな法律?
簡単に解説すると、消費者が誤認するような不当な表示や、競争を著しく歪める景品類の提供を防ぐために制定された法律です。
つまり、「消費者を騙すようなことはやめよう」という内容です。
具体的には、商品の効果を過大に表現する「優良誤認表示」や、価格を虚偽に表示する「二重価格表示」などが違反行為に該当します。
消費者が商品やサービスを適切に選択できるようにするためのものであり、企業に対して公正な競争を求めています。
違反した場合は、消費者庁や公正取引委員会によって罰金や行政指導が行われることがあり、企業にとって大きなリスクとなります。
2024年10月に改正された部分
2024年10月に行われた景品表示法の改正で注目すべき点は「確約手続」の導入と「直罰規定」の強化です。
確約手続
不当表示などの違反行為に対して、企業が自ら問題解決策を講じることで、行政処分を回避できる新しい制度です。
企業が違反をしてしまった時に、素直に是正する意志を示し、表示の早期是正や再発防止策の実施、消費者への返金対応を行うことで、課徴金などの厳しい措置を免除される可能性があります。
直罰規定
悪質な違反行為に対して、行政指導や命令を経ずに即時に罰則を科す規定です。
とくに「優良誤認表示」や「有利誤認表示」に対する罰金は、最大100万円まで科されることがあり、違反の抑止力が強化されました。
景品表示法の違反事例
それでは景品表示法の違反事例について見ていきましょう。ここでは代表的な違反例を4つ紹介します。
- 誇大広告
- 不当な二重価格表示
- 誤認表示
- 有料景品の不正提供
景品表示法の違反事例1:誇大広告
最も一般的な景品表示法違反のひとつが、実際の効果以上に効果があるように誇張表現を使った広告です。
たとえば、健康食品やサプリメント業界では「飲むだけで痩せる」「劇的な美肌効果をすぐに実感できる」といった科学的根拠のない表現を使って、消費者の期待を不当に煽るケースが多く見られます。
消費者庁はこうした誇大広告に対して厳しい措置を取っており、企業には表示の適正化が強く求められます。
景品表示法の違反事例2:不当な二重価格表示
不当な二重価格表示とは、実際には値下げされていないにもかかわらず、商品を割引しているように見せかける手法です。
たとえば、「通常価格10,000円のところ、今なら5,000円!」というよく聞く謳い文句ですが、実際にはその商品が過去に10,000円で販売されたことがない場合、これは消費者を欺く行為と見なされ、違法となります。
景品表示法の違反事例3:誤認表示
商品の原材料や産地に関する誤認表示も違反です。
たとえば、本当は輸入物なのに「国産牛100%」などと広告する行為がこれにあたります。
とくに食品業界において産地や成分に関して誤った情報を提供することは、消費者の信頼を失い、法的措置に繋がる可能性があるでしょう。
景品表示法の違反事例4:有料景品の不正提供
景品表示法では、企業が消費者に提供する景品の価値についても厳格に規制しています。
たとえば、特定の商品の購入者に高額な景品を付与することで競争を不正に誘導する場合、この行為は違反となる可能性があります。
過剰な景品提供は消費者に不公正な競争をもたらすため、厳しく取り締まられているのです。
簡単に理解できる:ステルスマーケティング
続いてはステルスマーケティング(以下ステマ)についてです。
ステマとは、広告であることを消費者に隠し、消費者が第三者のレビューや意見だと誤認するように行われる宣伝手法です。
SNSやブログ、YouTubeなどでインフルエンサーを起用し、企業の依頼を明示しないまま商品やサービスを推奨することがステマに該当します。
ステマが引き起こす代表的なリスク
ステマは消費者に信頼を裏切られたと感じさせ、企業の評判に大きな悪影響を与える可能性があります。どのようなリスクがあるのか、代表的なものを紹介します。
- ブランドイメージの失墜
- 法的制裁
- SNSや口コミでのネガティブ拡散
ステマによるリスク1:ブランドイメージの失墜
ステマが発覚した場合、最も大きな影響を受けるのは企業のブランドイメージです。
ステマは、消費者に対して「企業が隠れて操作している」といった不信感を抱かせ、長年築き上げた信頼を一瞬で崩すリスクがあります。
一度損なわれた信頼を回復するのは非常に困難であり、企業は長期的な経営リスクに晒されてしまうでしょう。
ステマによるリスク2:法的制裁
ステマが景品表示法違反と見なされた場合、企業は法的制裁を受ける可能性があります。
罰金や行政指導、さらには消費者庁からの業務改善命令など、事業運営に重大な支障をきたすことになります。
ステマによるリスク3:SNSや口コミでのネガティブ拡散
SNSや口コミサイトは、消費者がステマに気づいた場合、その情報を瞬時に拡散できるツールです。
一度ネガティブな情報が拡散すると、それを止めるのは困難。消費者の不信感が広がると、売上やブランド価値に深刻な打撃を与えるでしょう。
ステマと言われないための効果的な対処法
今では多くの消費者がステマに関して敏感になっています。
ステマではないのに「ステマだ」と思われてしまうケースも少なくありません。
それでは企業側は、どのような対応をすれば良いのでしょうか。ここでは代表的な対処法として以下の5つを紹介します。
- 透明性の確保
- 事前チェック体制の強化
- 適正な景品提供のガイドライン策定
- 消費者とのコミュニケーション強化
- 広告代理店や外部パートナーとの連携
ステマと言われないための対処法1:透明性の確保
ステマと言われないための最も基本的な対策は、透明性を確保することです。
広告やプロモーションであることを明確に表示し、消費者に対して誠実に情報を提供することが重要です。
インフルエンサーを起用する場合も、彼らが企業からの依頼を受けていることを明示し、PRや広告として明確に区別する必要があります。
ステマと言われないための対処法2:事前チェック体制の強化
社内で広告やプロモーション活動に関する事前チェック体制を強化しましょう。
とくに、法的な観点から景品表示法に違反していないかを確認するプロセスを設けることで、違反リスクを軽減できます。
マーケティング担当者や広告代理店と連携し、コンテンツが消費者を誤解させる表現を含んでいないかを慎重にチェックすることが重要です。
ステマと言われないための対処法3:適正な景品提供のガイドライン策定
景品表示法を遵守した景品提供を行うために、企業内部でガイドラインを策定し、それに基づいて適切な景品を設定することが必要です。
とくに競争を不正に歪める可能性がある高額な景品提供には注意が必要です。
ステマと言われないための対処法4:消費者とのコミュニケーション強化
消費者からのフィードバックを真摯に受け止め、透明性を高めたコミュニケーションを心がけましょう。
消費者との対話を通じて信頼関係を構築することで、景品表示法違反やステマに対する不安を軽減できます。
ステマと言われないための対処法5:広告代理店や外部パートナーとの連携
広告代理店や外部のマーケティングパートナーと緊密に連携し、法的なコンプライアンスを守った広告展開を進めることが重要です。
パートナー企業との協力を通じて、適正なマーケティング活動を行うための体制を整えましょう。
おすすめ:広告・コンテンツ制作サービス
景品表示法違反やステマを行わないために、広告やコンテンツサービスを扱う際に外部サービスの力を借りる手もあります。
専門家の声を聞けば、景品表示法違反やステマに触れてしまうリスクを圧倒的に抑えることができるでしょう。ここでは代表的なサービスを紹介します。
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まとめ:景品表示法とステマへの対処法
この記事では景品表示法とステマへの対処法について紹介しました。
リスクを回避するために、透明で誠実なマーケティング手法を採用し、消費者からの信頼を得られるように意識していきましょう。信頼の積み重ねが、ビジネスの飛躍の礎となります。