展示会はビジネスチャンスを広げる貴重な機会ですが、成功させるためには戦略的な準備が欠かせません。
この記事では中小企業のマーケティング担当者や展示会に出展を考えている経営者の方々に向けて、「展示会準備のコツ」や「ブース設計のポイント」そして「展示会後のフォローアップ方法」までをご紹介します。
展示会における成功とは?
展示会に出展する企業の目的は様々で、それぞれの企業にとって「成功」の定義も異なります。主な目的としては以下のようなものがあります
- 商品やブランドの認知の向上
- 新規顧客の獲得
- パートナーシップの構築
- 製品やサービスの詳細な紹介
- その他(アンケート、市場の把握 など)
多くの企業はこれらの目的のいずれかを掲げて展示会に出展しますが、成功を収めるためには、まず展示会で達成したい目標を明確に設定することが重要です。
理想的には、目的は一つに絞ると良いでしょう。目標が多すぎると、それに合わせた戦略が複雑になりがちです。もしどうしても複数の目的を設定する場合は、それぞれの目的に優先順位を付けることが重要です。
展示会前の準備
展示会への出展が決まったら以下の準備を行います。
- KPIの設定
- 出展意図とコンテンツのテーマ決め
- 効果的なブースデザインとレイアウト
- SNSでの事前告知や案内メール
- 運営スタッフの環境の整備
展示会の準備1:KPIの設定
展示会の成功に向けた第一歩は、KPI(重要業績評価指標)の設定です。具体的な目標を立てることで、成果を数値で把握しやすくなります。
たとえば、名刺交換の枚数、商談の成立数、アンケート回収数、リードの質などの指標を設定し、それに基づく行動計画を立てましょう。
展示会では、単にブースに立っているだけでは時間が無駄になる可能性があります。事前に目標を設定し、効率的に展示会を活用することで、より良い成果を上げることができます。
設定の具体例
たとえば、昨年の展示会で名刺交換の枚数が100枚だった場合、今年は150枚を目標に設定し、その中で成約数を10%にするという具体的な目標を立てましょう。
このように具体的な数値目標を設定することで、成果を明確に把握しやすくなります。
展示会の準備2:出展意図とコンテンツのテーマ決め
目標が定まったら、次に重要なのは展示会のテーマ設定です。テーマが決まることで、目標やプランがより具体化し、来場者の関心を引くための展示方法も明確になります。
たとえば「日常に寄り添う最新技術」を強調するのであれば、その技術のデモンストレーションや生活を絡めた成功事例を中心にコンテンツを展開したり、来場者が直接体験できるインタラクティブな内容を全面に出したブースで興味をひくなど、ブースづくりを工夫することが重要です。
開示する情報の範囲を事前に決めておく
展示会では機密情報や企業の戦略に関する情報が流出するリスクがあります。事前にどの情報を開示するかを決めたり、必要に応じて撮影禁止の札などで情報の流出対策を講じましょう。
たとえ認知を目的とした出展であっても、ライバル企業に対して製造元や技術情報をどこまで公開するかを事前に決めておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。
予算の管理と必要なリソースの確保
必要となるコンテンツが決まれば、必要な備品や展示物、スペースの把握、必要人員数などおのずと決まり、費用を算出できます。
また、展示会自体の費用は規模や場所や施工内容によって異なります。ブースのレンタル料や装飾費用、交通費、宿泊費などを含めて、相場を調査し予算内で必要なリソースを確保することが重要です。
展示会の規模に応じた予算計画を立て、費用対効果を最大化に向けて準備を進めていきましょう。
展示会の準備3:効果的なブースデザインとレイアウト
ブースデザインは来場者の第一印象を決める重要な要素です。
たとえば、明るく清潔感のあるデザインや、ブランドカラーを使った装飾でサービスを印象づける事が効果的な場合もあります。レイアウトも重要で、目的に合わせ来場者が自然にブースに入ってくるような配置を心がけましょう。
また、スタッフの人数や服装もブースの印象を左右します。サービス業であれば、ブランディングを兼ねたスタッフ共通のウェアが好ましく、一方、商談重視の場合はスーツなどビジネスライクな服装が適しています。
当日のスタッフの服装もイメージを伝えるツールとして活用しましょう。
ブース内での案内ツールの準備
ブース内の装飾や案内ツールは、来場者に必要な情報をスムーズに提供するために重要です。
たとえば、ブースから離れた通路を歩く人にわかるよう大型パネルの設置や、商談時に使用するパンフレットやカタログ、名刺入れなどを事前に準備し、展示会での情報提供を効率的に行いましょう。
また、展示会では機密情報や企業の戦略が流出するリスクもあります。必要に応じて「撮影禁止」のPOPを作成するなど、訪問者に不快感を与えずに情報流出対策を講じましょう。
QRコードの活用も考慮
最近では、QRコードを活用してカタログデータを配布する手法もよく使われています。
この方法は、物理的な配布物を減らしながら、効率的に情報を提供するのに役立つだけでなく、来訪者の情報を取得することができ、展示会の効果的なアフターフォローにも繋がります。
また、国際的な展示会であれば、英語など来場者の国籍を想定した言語での配布物による案内や、多言語が話せるスタッフを配置するなどで対応しましょう。
(QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です)
展示会の準備4:SNSでの事前告知や案内メール
展示会の成功には事前の告知が重要です。
SNSでの告知や案内メールを活用し、ターゲットオーディエンスに出展情報を届けることで、来場者の関心を引きつけ、成功の確率を高めることができます。
たとえば、展示会の開催日やブース位置、展示内容の一部を事前に発信することで、来場者の興味を引き意識づけることができます。
「偶然知ってもらえた」ではなく、知ってもらう確率を上げ、さらには商談時の成約率を上げる為に告知の計画を立てましょう。
展示会の準備5:運営スタッフの環境の整備
展示会中は長時間にわたることが多いため、スタッフの運営環境も整えておく必要があります。服装や履物を含め、ストックルームや食事の買い出し、休憩のためのスペースを確保や把握をしておくなど、スタッフが快適に働ける環境を整えましょう。
また、混雑が予想される場合は、整理券を配布するなどスタッフや来場者の負担を軽減する対策を講じましょう。
スタッフの役割分担とトレーニング
展示会中の運営には、役割分担が必要です。各スタッフに具体的な役割を割り当て、事前にトレーニングを行っておくことができれば理想的です。
たとえば、受付担当、商談担当、デモ担当など、急遽のトラブルに対応できるよう、役割ごとに必要なスキルを身につけることが重要です。
来場者を引きつけるためには、魅力的なプレゼンテーションやデモンストレーションも大切ですが、機会損失を防ぐために、担当者不在の際や対応中の際に「繋ぎ」の役割をする担当者を決めておくと良いでしょう。
スタッフ全員が共通意識を持つことが大事
せっかくの優れた製品やサービスの展示会プランがあっても、スタッフの認識がずれていては意味がありません。
たとえば、認知度向上を狙う場合でも拡散する仕掛けがないまま、製品やサービスに関連性のないノベルティを、一部のスタッフがただ配布し続けるだけでは、費用対効果が低くなる可能性があります。
準備段階から、展示会に参加するスタッフ全員が展示会の意図や目的をきちんと把握することが重要です。その上で一致した行動をとれば、来場者に対してより効果的なアプローチができる可能性が高まります。
展示会中の運営:ビジネスに直結させる4つの商談テクニック
展示会中に商談を成立させられれば、それは大きな成功のひとつと言えるでしょう。続いては、展示会当日の商談で役立つ4つのテクニックを紹介します。
- 商談は座って行う
- 顧客のニーズを正確に聞き取る
- カスタマイズされた提案を行う
- 次のステップを明確にする
商談テクニック1:商談は座って行う
「立ち話もなんですから…」というセリフは、立ち話が失礼とされる文化的背景に由来しています。
商談や重要な話は座って行うのが礼儀とされていたため、相手を座らせることで敬意を示し、話の重要性を伝えることができます。
これにより、訪問者はより真剣に話を聞き、深いコミュニケーションが生まれやすくなります。商談席の準備と案内は、単なる形式ではなく、相手への配慮と真剣さを示す手段となり、双方にとってより有意義な対話が生まれる可能性が高くなります。
商談テクニック2:顧客のニーズを正確に聞き取る
商談の最初に、顧客のニーズや期待を明確に把握するための質問を行いましょう。
具体的には、「現在の課題は何ですか?」や「何をお探しですか?」などの質問から顧客のニーズを探ります。
相手の話をしっかりと聞き、適宜確認やフィードバックを行いながら、顧客が何を求めているのかを正確に把握します。この段階でニーズを的確に理解することで、提案がより的を射たものになります。
商談テクニック3:カスタマイズされた提案を行う
顧客のニーズを理解したら、それに応じた具体的な提案を行います。汎用的な説明ではなく、顧客の課題に対して自社の製品やサービスがどのように貢献できるかを事例を交えるなどして説明します。
このとき、実績などの数字やデータを用いて効果を示すと説得力が増します。また、実際に製品を手に取ってもらったり、デモンストレーションを見せたりすることで、提案の具体性を高めましょう。
疑問や懸念には丁寧に対応
質問に答える際には、相手の不安を解消するために、企業の都合に合わせた過去の成功事例だけでなく、他の顧客の悩みやケースなどを共有し、まず自分事化してもらいやすい状況をつくると効果的です。
あくまでも顧客の懸念に対して真摯に向き合い、丁寧に説明することが、ともに解決していけるパートナーとして伝わり、信頼関係を深め、結果として商談を前進させていくことができるのです。
商談テクニック4:次のステップを明確にする
商談の締めくくりには、次に取るべき具体的な行動を明確にしましょう。たとえば、「近日中に見積もりをお送りいたします」「次の週にもう一度ご連絡いたします」など、具体的なフォローアップの計画を提案します。
このとき、可能であればその場で次回の打ち合わせの日程を決めてしまうのがベストです。商談後の行動が明確であれば、顧客が席を立つときには、次のステップに向けた確実な期待感を持ってもらえます。
アンケートデータなどの情報収集
商談と並行して来場者へのアンケートも積極的に行っていきましょう。来場者からのフィードバックは、今後のマーケティング戦略や製品改良に役立ちます。
たとえば、来場者がどの製品に興味を持っているか、どのような情報を求めているかを把握することで、製品開発に活かすことができます。
展示会後のフォローアップ
継続的な関係構築
展示会後のフォローアップは成功を確実にするために非常に重要です。展示会が終わった後は、迅速なお礼のメールやフォローアップを行うことで、関係性を深めることができます。
また、収集したリード(見込み客)を管理し、適切に追跡することで、商談や契約のチャンスを逃さないようにしましょう。
たとえば、リード情報をCRMシステムに入力し、定期的にフォローアップのメールや電話を行うと効果的です。
成果と評価~次回の展示会の準備
展示会終了後は成果を評価し、改善点を見直すことが重要です。目標達成度や来場者の反応を分析することで、次回の展示会に向けた改善点を明確になります。
具体的には、設定したKPI(重要業績評価指標)の達成状況を確認し、どの部分が成功し、どの部分に課題があったかを把握します。
たとえば、名刺交換の数や商談成立数、アンケートの回収結果などを振り返り、どの戦略が効果的だったのか、どの要素が改善が必要なのかを分析します。
成果の評価と改善点の見直しを行うことで、展示会の効果を最大化し、次回の出展に向けた戦略をより強化することができます。
業務効率化・売上アップ・システム開発・DX推進のための展示会ならDXPO
様々な展示会が毎月開催されていますが、ここでは業務効率化・DX推進のテーマでおすすめの展示会を紹介します。とくに「DXPO」は、「バックオフィスDXPO」「営業・マーケDXPO」「店舗・EC DXPO」「IT・情シスDXPO」の4つのテーマで展示会を行っており、それぞれの分野に特化した企業が出展しています。
多くの経営者や管理者が訪れるこのイベントは、DX推進に役立つ製品やサービスを提供している企業にとって絶好の機会です。ぜひ、DXPOへの出展をご検討ください。
※画像をクリックしていただければ、それぞれの展示会の詳細を見ることができます。
オンライン展示会はこちら
なお、DXPOでは365日24時間開催しているオンライン展示会もご用意してます。
まとめ:展示会は準備段階から始まっている
展示会は、IT企業がリードを獲得し、ビジネスを成長させるための重要な機会です。効果的な展示会マーケティング戦略を展開することで、IT管理者はリードを多く獲得し、ビジネスの成功に繋げることができます。この記事で紹介した目標設定からフォローアップまでの一連のステップを丁寧に実行し、展示会を成功させるための努力を惜しまないようにしましょう。