近年、従来のオンプレミスのファイルサーバーを活用していた企業の多くが、クラウドでの管理へと移行し始めています。企業のDX化の一環とも言えるでしょう。そこでこの記事では、ファイルサーバーを使用中の企業の方に向けて、クラウドへ移行させるための手順とポイントを詳しく解説します。
ファイルサーバーからクラウドへ移行させるメリット
まずは、ファイルサーバーからクラウドへ移行させるメリットを解説するのでご覧ください。
柔軟性と拡張性の向上
ファイルサーバーからクラウドへの移行には、柔軟性と拡張性の向上が大きなメリットとして挙げられます。
クラウド環境なら、データへのアクセスが場所やデバイスに依存せず、従来よりもはるかに柔軟に対応することが可能です。どこからでも必要なデータにアクセスできるようになれば、従業員の作業効率は向上します。
また、企業の成長に伴ってデータ量が増加する場合、従来のファイルサーバーでは、ハードウェアの追加やアップグレードが必要でした。しかし、クラウドなら容易にスケーリングできます。瞬時にリソースを増減させることが可能なので、スムーズな業務遂行が期待できます。
このように、変化するビジネス環境に迅速かつ効果的に対応するために、ファイルサーバーからクラウドへ移行させる企業は少なくありません。
コラボレーションの促進
ファイルサーバーからクラウドへの移行には、コラボレーションの促進が際立つメリットもあります。クラウド上のファイル共有プラットフォームなら、リアルタイムでのコラボレーションが可能です。
従来のファイルサーバーでは難しかった同時編集が容易になり、複数のユーザーが異なる場所からアクセスして協力して作業することができます。
リモートワークが一般的になっているため、地理的な距離を超えたコラボレーションがますます重要となっているのです。オンライン上でリアルタイムにアクセスできることは、経営者や管理者の想像以上に意味のあることだと認識したほうが良いでしょう。
セキュリティとバックアップの向上
ファイルサーバーからクラウドへの移行には、セキュリティやバックアップの向上の点からも大きなメリットがあります。
クラウドプロバイダーの多くが高度なセキュリティ対策を提供し、データの暗号化やアクセス制御が強化しているため、企業の機密情報や重要データの安全性が確保されます。その結果、機密性の高いデータに対する不正アクセスや情報漏洩のリスクが軽減されるのです。
また、クラウド環境では自動的なバックアップや復旧機能が提供されるため、データの損失や災害に対する備えが強化されます。
従来の手動でのバックアップに比べ、リアルタイムかつ定期的なデータの複製を行ってくれるため、素早いデータの復元が可能です。セキュリティとバックアップの向上により、安心してDX化を進めることができます。
ファイルサーバーからクラウドへ移行させる際の注意点
続いては、ファイルサーバーからクラウドへ移行させる際の注意点を紹介します。
データの整理とクラス分け
ファイルサーバーからクラウドへ移行する際は、データの整理とクラス分けが重要です。移行前にファイルサーバー上のデータを慎重に検討し、できるだけ整理しましょう。必要なデータと不要なデータを明確に区別して不要なデータを削除することで、クラウドへの移行が効率的かつスムーズになります。
また、データのクラス分けを行うことで、セキュリティの向上やアクセス権の適切な管理が容易になります。重要なデータや機密情報は適切なセキュリティ対策が施されたクラウド領域に配置し、必要なユーザーにのみアクセスを許可するなど、データの適切な取り扱いを確保すると良いです。
従業員へのトレーニング
ファイルサーバーからクラウドへの移行に関する計画や変更点については、従業員に対して適切なトレーニングを提供することが不可欠です。新しいクラウドツールの使い方や変更に対する理解が共有されることで、移行プロセスが円滑に進行します。
従業員へのトレーニングでは、新しい環境やツールへの順応をサポートし、従業員が効果的に新しいシステムを活用できるようにするのが目的です。
具体的な操作方法や新機能の活用方法に焦点を当て、従業員が自信を持って業務に取り組めるようにしましょう。そうすることで、クラウドツールの導入に伴う生産性の低下や混乱を最小限に抑えることができます。
データの移行計画
ファイルサーバーからクラウドへの移行において、最も大きな注意点のひとつはデータの移行計画の詳細な策定です。移行計画はできるだけ慎重に立てられることが求められます。
まず、データの整合性を確保するために、移行対象となるデータを詳細に調査し、必要ならばクリーンアップを行います。データが適切な形で配置されれば、移行後の運用においてもスムーズに作業できる環境が整いやすいでしょう。
次に、大事なのは段階的なアプローチを取ることです。全てのデータを一度に移行するのではなく、特定の部門やプロジェクトから順次移行することで、問題が発生した際にも素早く対応できる体制を整えると良いでしょう。
セキュリティとコンプライアンスの確認
最後にセキュリティとコンプライアンスについてです。企業のセキュリティポリシーとコンプライアンス基準を満たすことが、移行先のクラウド環境の選定における最重要項目だと考えてください。
まず、データの暗号化が正確に設定されているかが重要です。クラウド上でのデータは常にセキュリティ上の懸念がありますが、適切な暗号化を行うことでデータ漏洩のリスクを軽減することができます。
また、アクセス制御の設定も検証対象となります。クラウド上でのファイルへのアクセスは、必要な権限を持つユーザーに限定することが重要です。
このようなセキュリティとコンプライアンスの確認は、データの安全性を保ちながらクラウドへの移行を進めるために欠かせないステップです。
ファイルサーバーからクラウドへ移行させるためのステップ
では、実際にファイルサーバーからクラウドへ移行させるためのステップを具体的に紹介します。
ステップ1: 現状の評価
まずはファイルサーバー上のデータを正確に評価しましょう。どのデータをクラウドに移行させるか、セキュリティやコンプライアンスの要件はどのように満たされるかを明確にします。ここでは、データのクラス分けや整理が重要です。
ステップ2: クラウドプロバイダーの選定
次にクラウドプロバイダーの選定を行います。選定の際には信頼性、セキュリティ、パフォーマンス、コストなどを考慮してください。
ステップ3: 従業員へのトレーニング
どのクラウドへ移行するのかが決まったら、従業員へのトレーニングを開始します。彼らがなるべく早く使いこなせるように、新しいツールやプロセスの説明は極力丁寧に行なってください。実際にツールを利用するのは彼らです。
ステップ4: データの移行計画
次にファイルサーバーからクラウドへのデータの移行計画を立てます。データの整合性、セキュリティの確保、移行中の業務の中断を最小限に抑えるための計画が必要です。定期的なバックアップを実施して、データの損失や破損を防ぎましょう。
ステップ5: セキュリティとコンプライアンスの確認
続いて、クラウド環境が企業のセキュリティポリシーとコンプライアンス基準に準拠していることを確認します。データの暗号化、アクセス制御、監査機能などが適切に設定されているかも検証してください。
ステップ6: テストとモニタリング
移行が完了したら、システムのテストです。モニタリングツールを活用して、クラウド環境のパフォーマンスやセキュリティを継続的に監視します。何か不都合な箇所があれば、その都度修正していく流れとなります。
クラウド移行の活用できるおすすめサービス
ファイルサーバーからクラウドへと移行させる際に活用できる、おすすめのサービスを紹介します。よかったらご検討ください。
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ARアドバンストテクノロジ(株)
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ファイルサーバーからクラウドへ:まとめ
DX化のためのファイルサーバーからクラウドへの移行は、非常に有益ではありますが、同時に慎重な計画と適切な実行が求められます。この記事で紹介したステップを追うことで、スムーズで効果的な移行が実現し、クラウドの利点を最大限に引き出すことができますので、是非参考にしてください。