情報の爆発的な増加と競争の激化により、企業はますます効果的かつ効率的な意思決定が求められています。しかし、データの量や種類が増えるにつれて、データの整理や分析が難しくなっているのも事実です。そのため、効果的かつ効率的な意思決定が行えるツールに注目が集まっています。
当記事で紹介するのは、BI(Business Intelligence)ツールです。ビジネスにBIツールを導入することで、データ駆動型の意思決定を実現しやすくなります。しかし、決して安価なツールではありませんので、BIツールを導入する前に特性やメリット・デメリットを理解し、それぞれの商品を慎重に比較していきましょう。
BIツールとは
BIツールとは、データの収集・蓄積・分析・可視化を支援するソフトウェアです。ビジネスにBIツールを導入することで、蓄積されたデータから意味のある情報だけを抽出し、経営や業務の改善に役立てることができます。
BIツールには多岐にわたる機能が存在しますが、大きく分けると以下の3つの機能があります。
- データの収集・蓄積
- データの分析
- データの可視化
データの収集・蓄積
BIツールはさまざまなデータソースからデータを収集し、それらのデータを蓄積できます。データソースには業務システムのデータはもちろん、Webアクセスログ、SNSの投稿データなど、さまざまなものが含まれます。
データの分析
収集・蓄積した大量のデータを分析します。分析機能には、集計、グラフ化、予測など、さまざまなものがあります。代表的な分析機能は以下のとおりです。
- 経営・財務分析:売上や財務状況が即座に分かるため、経営判断に役立ちます。また、経営方針変更や予算再編も支援します。
- 営業・売上分析:営業成績は個人のスキルに左右されがちです。しかし、BIツールの分析によって、従来は主観的にしか分からなかった営業と売上の関係を、より客観的に見える形にできます。数字やグラフで分析できれば、効果的な営業方法の確立や組織の改善が可能です。
- 人事・採用分析:離職率が増減した場合、その理由を把握する必要があります。たとえば、リモートワーク導入や組織再編などさまざまな要因が考えられますし、予期せぬ理由もあります。BIツールを使えば、事象の背後にある理由を掘り下げることができるため、人事や採用業務に役立ちます。
- 給与・残業分析:組織の再編や勤怠・残業状況、業務進捗などの情報を総合的に分析できます。給与や残業代が予算から大きく外れている場合でも、原因を特定できます。
- 予実管理:BIツールに予算やスケジュールを組み込み、ダッシュボードで表示することで、実績と比較がすぐにできます。売上や進捗のずれの原因を迅速に把握することは、データに基づく意思決定には不可欠です。
データの可視化
BIツールは、分析したデータをわかりやすい形で可視化することが可能です。可視化することで、データの傾向や変化を直感的に把握でき、より多くの人と情報を共有しやすくなります。また、BIツールにはレポート作成の機能もあるので、レポート提出が必要な場面ではこの機能が役立つでしょう。
BIツールのレポーティング機能を使うと、定期的に過去の動向を示す資料を作成したり、リアルタイムでのさまざまな情報をダッシュボードに表示したりすることができます。日常的に情報を収集しているため、異常があった場合はすぐに検知して警告や通知を行ってくれるため、迅速な対応が可能です。
BIツールを導入するメリット
では、大量のデータを分析することでどのようなメリットが生まれるのでしょうか。BIツールを導入すると以下のメリットがあるとお考えください。
- 効率的にデータを活用できる
- 意思決定の質を向上できる
- 業務の効率化・改善を実現できる
効率的にデータを活用できる
BIツールを導入することで、効率良くデータの収集・蓄積・分析・可視化ができます。人の力で行えば何日もかかる作業時間を大幅に短縮させることも可能です。データのほとんどは意味のないものかもしれません。しかし、中には非常に貴重なデータも含まれています。
また、大量にデータを集めることで初めて見えてくることもあります。これらの「意味のある情報」を抽出するだけでも十分に価値がありますが、この作業にかかる時間を大幅に短縮できれば、経営や業務の改善に集中できるというメリットもあります。
意思決定の質を向上できる
人間同士の話し合いでは私情が挟まってしまうこともありますが、BIツールによるデータに基づいた意思決定ならば、より客観的で合理的なものになりやすいのもメリットです。データ駆動型の意思決定を極めることで、迅速かつ正確なビジネス戦略が展開できます。
業務の効率化・改善を実現できる
BIツールを導入することで、業務の効率化・改善を実現できます。業績の可視化は問題点の早期発見と改善を行いやすくしてくれるでしょう。また、情報へのアクセスが容易になることで、意思決定者は現場の状況をリアルタイムで把握しやすくなります。
BIツールを導入するデメリット
BIツールの導入にはデメリットもあるのでご確認ください。
- 初期費用・ランニングコストがかかる
- 専門知識が必要
- 既存のシステムとの統合が難しい場合がある
初期費用・ランニングコストがかかる
BIツールの導入には導入するための初期費用だけではなく、ランニングコストもかかります。ランニングコストには、ライセンス費用や保守費用などが含まれます。また、導入を決めてから実際に活用できるようになるまでの準備期間が相応に必要です。
専門知識が必要
BIツールを使いこなすためには、ある程度の専門知識が必要です。そのため、BIツールの操作方法や分析方法を学ぶ必要があります。また、専門知識を得てもツールの使いこなしに慣れるまでは、BIツールの持つメリットを生かしきれない期間もあるでしょう。
BIツールを利用する予定の従業員が、どのくらいの知識を持っているのかの確認が重要です。必要であれば、BIツールを利用する予定の従業員に教育やトレーニングを行います。
既存のシステムとの統合が難しい場合がある
既に何らかのシステムを利用している場合、BIツールとの統合ができない可能性もあります。その場合、BIツールを利用するために現状のシステムを止める必要があるでしょう。
BIツール選びで重要なこと
さまざまなBIツールがリリースされていますが、BIツールを選ぶ際には、以下の点に注意してください。
- 自社の目的に合っているか
- データソースに対応しているか
- 価格
自社の目的に合っているか
さまざまなBIツールがリリースされており、それぞれにたくさんの機能が備わっていますが自社の目的に合った機能が必ずしも備っているとは限りません。自社の目的と必要な機能を明確にしてからBIツールを選ぶ必要があります。
データソースに対応しているか
導入予定のBIツールが自社で利用しているデータソースに対応しているかの確認は重要です。データ連携がうまく出来なければ、BIツールを有効活用することは難しくなります。
価格
BIツールの価格は、製品によって異なります。自社の予算に合わせて選ぶ必要があります。
その他にもユーザビリティや導入の容易さ、セキュリティ対策の充実度、ベンダーの信頼性やサポート体制などを考慮し、後悔しないBIツールの導入を心がけてください。
代表的なBIツールを比較
それではここまでの情報を踏まえて、おすすめできるBIツールを厳選して紹介します。
※これらの製品情報の閲覧には「DXPOオンライン会員登録」が必要です。
Yellowfin Japan(株)
Yellowfin
ビジネスインテリジェンスをもっと簡単に!
Yellowfinは国内導入は700社以上、全世界で300万エンドユーザーに利用されているBIツールです。貴社の業務やソフトウェアに組込み、簡単にデータ活用できる環境を提供します。
(株)クロスユーアイエス
Data Knowledge
ノーコードで簡単にデータ活用できるBIツール
簡単な操作でデータベースからデータを抽出し、自由に集計・加工・出力処理ができるBIツールです。 また、情報システム部門に頼らない情報活用を実現します。
エム・ティー・エス(株)
フリフリ Free-Free-Transition
作戦会議の時間です。
フリフリには初めて使う人でも簡単に操作できる機能がたくさんあります。 いままで分析してこなかったデータ、実は宝の山かもしれません。さあ、フリフリを使って作戦会議、始めましょう。
(株)ジーニー
GENIEE BI
マーケティング精度を極限まで高めるデータ分析
誰でも簡単にデータ分析・グラフ作成が可能です。売上向上に繋がるデータ活用を促進。リアルタイムで大量のデータを分析し、迅速な意思決定に役立ちます。自社提供のSFAと連携可能
まとめ:BIツール導入は重要な戦略的投資
BIツールを導入しうまく活用すれば、効率的にデータを収集、蓄積できるだけではなく、データに基づいた意思決定の質を向上させられます。結果的に、業務の効率化・改善を実現できる有効なツールと言えるでしょう。BIツールの導入は企業にとって重要な戦略的投資と考えられます。