「データプレパレーション(データの前処理)」とは、生データをビジネス分析や機械学習で利用する前に、データをクレンジング(洗浄)し、統合し、整理する作業を指します。
データプレパレーションの重要性は見落とされがちですが、結果がでるビジネス分析や機械学習のためには欠かすことができません。それにも関わらず膨大な作業工数を必要とするため、業務効率化のためにも適切なデータプレパレーションツールの導入が必要不可欠です。
この記事では、データプレパレーションの意味を解説したうえで、代表的なデータプレパレーションツールを紹介します。データプレパレーションツールの導入検討に、是非、この記事をお役立てください。
データプレパレーションとは
業界やニーズによって違いはありますが、ビジネス分析や機械学習のために生データを変換・加工するデータプレパレーションの主なステップは以下のとおりです。
- データ取得:必要なデータの特定、収集、一貫性を確立することにより、信頼性の高い分析を実現します
- データの探索:データの質を評価し、分布を調査し、各変数間の関係を分析することで、分析の構成方法をよく理解するためのステップです
- データのクレンジング:不要なデータや質の低いデータの削除、不正確なデータの修正により、データの品質と全体的な生産性を向上させ、エラーのないインサイトを作成します
- データ変換:分析で使用するデータセットのフォーマット、方向づけ、集約を行い、より有意義な洞察を得るためのステップです
たとえば機械学習のデータプレパレーションには、貴重なデータサイエンティストやアナリストの時間の80%が使われるといわれています。なぜならばデータプレパレーションには、時間がかかる反復的な作業が大量に含まれるからです。
彼らが分析に集中するために、適切なデータプレパレーションツールの検討をおすすめします。
代表的なデータプレパレーションツール2選
AlterysとInformaticaは、いずれもデータプレパレーションのための強力なツールです。それぞれに特徴がありますので、以下にこのふたつのツールの特徴、メリット、デメリットを説明します。
Alterys
製品名:Alteryx AI Platform for Enterprise Analytics
企業名:Alteryx
URL:https://www.alteryx.com/ja/
Alteryxは使いやすさと迅速な展開を重視するユーザーに適しており、データプレパレーションから予測分析まで一貫して対応できるため、中小規模のプロジェクトや迅速に分析を行いたい場合に適しています。
特徴
- マウスの操作だけで直感的な操作が可能です
- データ分析、生成的AIや会話型AI、データ準備、高度な分析、レポートの自動化、予測分析、地理空間分析などの高度な機能を搭載しています
- 幅広いデータソースと連携が可能です
メリット
- 業務担当者でも直感的に操作できます
- 画面操作での部品の組み合わせにより、複雑なワークフローの迅速な構築が可能です
- 幅広い分析機能を備えています(予測分析や地理空間分析など、高度な分析機能を標準搭載)
- 定期的なレポート作成などのタスクの自動化が可能です
デメリット
- 他のツールと比較して高価になる傾向があります
- 非常に大規模なデータセットの処理には適さない可能性があります
- 初心者にとっては習得に時間がかかる場合があります
- 高度なカスタマイズの制限に注意してください
Informatica
製品名:Intelligent Data Management Cloud
企業名:Informatica
URL:https://www.informatica.com/jp/
Informaticaは、大規模組織における大規模なデータ統合や高度なデータ品質管理を必要とする企業に適しており、高いスケーラビリティと豊富な機能が提供可能です。
特徴
- 大規模なデータ統合とデータ管理に特化しており、企業全体のデータ統合と分析が可能です
- データの検証、クレンジング、プロファイリングなど、データの品質管理機能が充実しています
- オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境に対応し、多様なデータソースと連携可能です
- データセキュリティとガバナンス機能が充実しており、データの保護とコンプライアンスを確保できます
- ストリーミングデータのリアルタイム処理をサポートし、最新のデータに基づく分析が可能です
メリット
- 大規模なデータセットや複雑なデータ統合シナリオにも対応しています
- データ品質、セキュリティ、ガバナンスの機能が豊富で、堅牢なデータ管理が可能です
- オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境に対応し、ビジネスニーズに応じて柔軟に展開できます
- データ統合、データ管理、データガバナンス、リアルタイム処理など、多岐にわたる機能が提供可能です
デメリット
- 高機能ゆえに設定や運用が複雑で、専門的な知識やトレーニングを必要とします
- 高機能であるため、高額になりがちなライセンス費用や運用コストの検討が必要です
- 初期導入や継続的な管理に多くのリソースを必要とする傾向があります
どのようなデータプレパレーションツールが自社に必要か、特定のニーズや状況、予算に応じて選択することをおすすめします。
Excel帳票処理に特化したおすすめデータプレパレーションツール
バックオフィスでExcelを利用している業務は多岐にわたります。複雑な明細をまとめるためにExcel利用の請求書、入金管理業務、振込一覧表、資金繰り管理、財務帳票作成などは、見やすい帳票で提出する必要があるために社内固有のフォーマットが利用されています。
ある企業内でのアンケート調査では、社員の半数が集計作業に月に10時間以上かけている結果がでたそうです。一部の人に集計業務が集中し、その方の稼働時間の5割~8割の工数がかかっていたり、または、週に1時間の集計業務を部内全員が行っている事で、部内のトータル工数としては月に数十時間にもなっていました。どちらも改善する事によって効果が大きいものです。
引用:xoBlos「Excel業務を大幅に改善させるツール」
ここで紹介するxoBlosは、収集したデータをExcelに入力した後、集計や資料作成、関係部署や取引先のメール配信までを自動化するタイプのデータプレパレーションツールになります。長時間を必要とする集計業務を自動化することにより、大幅な業務効率向上を実現することが可能です。
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まとめ:データプレパレーションツールで業務効率向上
「前処理」とも呼ばれるデータレパレーション。結果がでるビジネス分析に欠かすことができないにもかかわらず「縁の下の力持ち」のような存在であるために見落とされがちかもしれません。
しかし、実は長時間を必要とするこの業務をツールによって自動化することで、大幅な業務効率向上の効果を実現することが可能です。自社のニーズや状況と予算に照らし合わせてのデータレパレーションツールツールの導入検討をおすすめします。