展示会はビジネスチャンスを広げるための重要な場ですが、出展の目的やターゲットによってアプローチや戦略が異なります。
とくに、toB(ビジネス・トゥ・ビジネス)とtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマー)の展示会は、その違いが顕著です。この記事では、toBとtoCの展示会に出展する際に押さえておくべきポイントや違いについて詳しく説明します。
展示会で押さえるべきポイント

展示会でおさえるべきポイントは以下の5つです。
- ターゲットと目的
- ブースデザインとコンテンツ
- 運営と接客
- 成果の測定とフォローアップ
- 会期前のアプローチ

「toB」展示会で押さえるべきポイント
toB展示会で押さえるべきポイント1:ターゲットと目的
toB展示会は、企業やビジネスパートナーをターゲットにしたイベントです。
ここでは、toC展示会とは異なり、物品販売よりも商談やビジネスチャンスの獲得を重視します。ビジネスの意思決定権を持つ人たちが多いため、彼らのニーズや課題をしっかり把握することが大切です。
toB展示会の事例1:IT企業として出展
IT企業がtoB展示会に出展する際は、最新の技術やソリューションを通じて、ビジネスの課題解決にどう役立つかを具体的に紹介します。
たとえば、企業向けデジタルソリューションを展示し、導入事例やROI(投資対効果)を示して、そのメリットをアピールします。これにより、来場者は自社の課題解決に向けた具体的なビジョンを持つことができます。
toB展示会の事例2:メーカーとして出展
メーカーが出展する際には、製品の効率性や性能を実演やプロモーションを通じて体験してもらうことが重要です。
また、興味を持っている担当者には、技術的な詳細やカスタマイズオプションを説明し、ビジネスパートナーとしての信頼を築くことも大切です。これにより、製品の具体的なメリットを理解しやすくなるだけでなく、関連製品の提案にもつながりやすくなります。
toB展示会の事例3:特別キャンペーンの実施
商談を成功させるために特別な提案や契約時の特典(たとえば、初回導入割引や長期契約の優遇措置)を用意します。
さらに、展示会後にはフォローアップのセミナーやウェビナーを開催すると、追加のビジネスチャンスを生み出しやすくなります。また、名刺交換を目的としたノベルティ配布も、施策によっては効果的とされる手法です。
toB展示会で押さえるべきポイント2:ブースデザインとコンテンツ

toB展示会のブースデザインは、プロフェッショナルで信頼感を与えるものであるべきです。以下のポイントを考慮して、デザインやコンテンツを整えましょう。
シンプルで洗練されたデザイン
ブースデザインはブランドのイメージを反映しつつ、情報が見やすく整理されたデザインが理想です。過剰な装飾は避け、ビジネスの専門性をアピールします。具体的には、ブランドカラーやロゴを効果的に使用し、統一感のあるデザインだけでなく、重要な情報は目立つように配置し、訪問者が自分事として興味を持ってもらえるようにすることがポイントです。
例えば、シンプルでありながら、プロフェッショナルな印象を与えるデザインや、清潔感のあるレイアウトや高品質な素材を使用することで、信頼感を高めることができます。また、インタラクティブな要素を取り入れることで、訪問者が興味関心を持ちやすい仕掛けを導線に組み込み、営業活動をサポートすることができます。これにより、ブランドの信頼性だけでなく、訪問者の悩みに対し満足度の高い提案を行うことができます。
ビジネスケーススタディやデモンストレーション
製品やサービスの具体的な使用例や成功事例を紹介し、デモンストレーションを通じてその効果を実感してもらいます。例えば、事例を交えて提案し、実際に顧客がどのように課題を解決できたのかを紹介いたします。実際にデモンストレーションで製品の機能を体験してもらうことで、サービスや製品に対する印象は、より強く残るのです。
その際には、詳細な資料や技術的な説明が求められることもあるため、有効なデータや資料をしっかりと準備しておくことが重要です。
toB展示会で押さえるべきポイント3:運営と接客

展示会での商談や対応には、プロフェッショナルな態度と詳細な提案が求められます。以下の点に注意して、信頼性を高めましょう。
服装
スーツやビジネスカジュアルなど、フォーマルで清潔感のある服装が適しています。企業のイメージに合ったスタイルを選び、プロフェッショナルな印象を与えることが大切です。
特に、展示会では第一印象が重要であり、来場者に信頼感を与えるためにも、きちんとした服装を心掛けましょう。また、服装だけでなく、身だしなみ全般にも注意を払い、清潔感を保つことが求められます。
詳細な提案と交渉
商談や交渉に限った話ではありませんが、ビジネスニーズに合わせた提案は、具体的なデータや数字を用いて説得力を持たせましょう。例えば、過去の成功事例や統計データ、提案内容の信頼性を高めるこを用意するなどです。価格や契約条件についても、顧客の要望に応じて柔軟に対応できるよう準備することも必要です。
交渉の際は、顧客の立場に立って考え、双方にとって最適な解決策を見つける姿勢がなによりも大切です。このようなやりとりから生まれる信頼関係は、長期的なビジネスパートナーシップを確立させる重要なポイントなのです。
次のステップの明確化
商談後には、具体的な次のステップを設定し、フォローアップの計画を立てましょう。
たとえば、後日見積もりを送付する、次の打ち合わせの日程を決めるなど、具体的なアクションを明確にすることで、商談の進展をスムーズにします。その際、次回の打ち合わせで取り上げる議題や目標を事前に共有することで、顧客とのコミュニケーションを円滑にし、商談の成功率を高めることができるのです。
toB展示会で押さえるべきポイント4:成果の測定とフォローアップ

toB展示会の成果を最大化するためには、詳細なフォローアップが重要です。
KPIの設定と評価
商談の成立数、顧客情報の質、ビジネスパートナーの獲得数など、具体的なKPIを設定し、展示会終了後に成果を評価します。さらに、KPIの達成度を定期的にモニタリングし、必要に応じて戦略を調整することも重要です。
どの戦略が効果的だったのかを分析し、次回の展示会に向けた改善点を見つけましょう。
顧客情報の管理
収集した顧客情報をCRMシステムに入力し、定期的なフォローアップを行います。顧客情報の質を高めるために、詳細な情報収集と分析を行います。このデータにより、顧客のニーズや関心をより深く理解し、適切なタイミングで効果的なアプローチを行うことができます。
toB展示会で押さえるべきポイント5:会期前のアプローチ
主にSNSを用いた事前告知や、展示会前に取引先の企業への招待状で告知を行います。ブースコンテンツを周知するなど、ブースに訪れるメリットを提示することで、潜在顧客へ効果的なアプローチが可能です。
「toC」展示会で押さえるべきポイント

toC展示会で押さえるべきポイント1:ターゲットと目的
toC展示会は、一般消費者をターゲットにしたイベントで、以下のポイントを重視します。
ここでは、名刺交換やビジネスの詳細説明よりも、製品やサービスがどのように生活を変えるかを具体的にイメージさせ、購買意欲を高めたり、ファンを獲得することが主な目的です。
また、物品販売など直接利益に関わる施策を通じて、顧客の反応をダイレクトに確認できます。
顧客の関心
消費者がどのような製品やサービスに興味を持ち、ライフスタイルにどうフィットするかを理解することが重要です。
感情的なアプローチや体験型の展示が効果的です。製品の使い方やメリットを直接体感できるような工夫をしましょう。
購入の動機
消費者の購買意欲を高めるためには、商品のメリットやライフスタイルに与える影響を強調することが必要です。
具体的な利点や変化を明確に伝え、実際にどのように役立つかを示すことがポイントです。
物品販売やプレゼントキャンペーン
認知度拡大を目的としたプレゼントキャンペーンや物品販売がよく行われます。
また、滞留在庫処分を目的としたノベルティの配布も見られます。アンケートを実施したり、新規顧客の契約を促進する施策も有効です。
事例1: 家電メーカー
家電メーカーがtoC展示会に出展する場合、新製品の体験が重視されます。
たとえば、最新のスマート家電を展示し、来場者が実際に製品を使ってその便利さを体感できるようにします。体験型ブースやデモンストレーションを通じて、製品の価値を実感してもらうことが大切です。
事例2: コスメブランドの展示会
コスメブランドは、製品の試供品を配布し、直接肌に試すことができるスペースを設けます。
来場者が製品を試すことで購買意欲を引き出し、購入のインセンティブを提供することが重要です。
事例3:会員や登録者の獲得
英会話教材や宅配サブスクリプションなどの長期契約を目的とした顧客の獲得を目指す場合、展示会を活用して登録者の増加を促進します。
toC展示会で押さえるべきポイント2:ブースのデザインとコンテンツ
toC展示会のブースデザインは、視覚的に魅力的で消費者の興味を引くことが重要です。以下のポイントに注意してデザインを考えましょう。
目を引くデザイン
カラフルでインパクトのあるデザインや、製品の使い方を示すビジュアル、インタラクティブな要素が効果的です。
消費者が自然とブースに立ち寄りたくなるような工夫を凝らしましょう。目を引く装飾やデジタルディスプレイも有効です。
体験型コンテンツ
消費者が実際に製品を試せるデモンストレーションや体験スペースを設けることで、興味を引きます。体験することで製品の良さを実感してもらえます。
また、ブランドのストーリーを語ることで、感情的なつながりを深めることができます。
物品販売
物品販売を行う場合は、複数の顧客にスムーズに対応できる導線やスペースの確保が必要です。
混雑が予想される場合は、整理券の配布なども検討して、効率的に対応しましょう。
toC展示会で押さえるべきポイント3:運営と接客

toC展示会では、消費者との距離を縮めるためのアプローチが非常に重要です。以下のポイントを意識して、親しみやすい雰囲気を作りましょう。
カジュアルな接客
親しみやすく、フレンドリーな対応が求められます。消費者がリラックスして話しかけやすい雰囲気を作り、製品の魅力や特徴を自然に伝えましょう。
カジュアルな服装やフレンドリーな話し方で、より親近感を持ってもらえるよう心掛けます。
特典や割引
その場で特典や割引を提供することで、消費者の購入意欲を高めることができます。
プロモーションやサンプルの配布も有効です。特別なオファーや限定割引などを用意し、来場者の関心を引きましょう。
toC展示会で押さえるべきポイント4:成果の測定とフォローアップ

toC展示会の成果を最大化するためには、以下のステップで成果を測定し、適切にフォローアップすることが重要です。
- 売り上げ:展示会期間中に実際に発生した売上額。
- 登録者数:新たに登録した顧客やメーリングリストの数。
- 製品体験者数:製品を実際に試した来場者の数。
- ノベルティの配布数:配布したノベルティの数量。
- アンケートの回答者数:収集したアンケートの回答数。
消費者のフィードバックも重要で、展示会の体験や製品に対する感想を集めることで、次回に向けた改善点を見つける手助けになります。
また、展示会後は、収集したリードに対して迅速にフォローアップを行いましょう。
参考例1:メールやSNSの活用
展示会での体験を振り返り、感謝の意を表すと共に、今後のアクションを促すメールを送信します。SNSを活用して、展示会での内容や製品の最新情報をシェアすることも効果的です。
参考例2:関係の維持
フォローアップに加えて、定期的にニュースレターや特別オファーを提供することで、ブランドの認知度を高め、関係を維持します。
toC展示会で押さえるべきポイント5:会期前のアプローチ
事前告知
企業は、主にSNSやメルマガ、プレスリリースを通じて顧客に事前告知を行います。
ブースコンテンツや無料体験、ノベルティの配布などの特典を周知することで、ブース訪問のメリットを提示し、潜在顧客に効果的にアプローチすることができます。
事前商談
オンライン商談などを通じて事前にヒアリングを行うことで、ニーズや課題を把握し、効果的な提案が可能になります。これにより、スムーズな成約につながることもあります。
まとめ:toB展示会とtoC展示会とでは押さえるべきポイントが違う

展示会の成功にはtoBとtoCそれぞれの特性を理解し、それに合わせた戦略を立てることが不可欠です。
出展前の準備から、展示会当日の対応、フォローアップに至るまで、戦略的に進めることで、ビジネスの成長につなげることができます。是非参考にしてみてください。