いま、日本ではDX推進を支える人材育成が重要な経営課題となっています。
『DXスキル標準』とは、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が共同で開発した、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルを定義したものです。この開発母体となった『デジタル時代の人材政策に関する検討会』において、DX推進人材の育成にあたって大切な考え方が検討され、その成果が『DXスキル標準』に反映されています。
この記事の目的はDX推進人材育成に関するこの検討会の成果を要約すると共に、その実践を支える教育サービス事例を紹介することです。
DX推進人材育成のために大切な3つの考え方
『デジタル時代の人材政策に関する検討会』はDX推進人材育成のために大切な考え方を報告しています。
DX推進人材育成のための考え方1:社内にDX推進のための専門人材を育成することの重要性
多くの日本組織では、IT導入に対してITベンダーに依存する特殊事情があります。
しかしDX推進においては、データサイエンティスト、ビジネスアーキテクト、デザイナー、ソフトウェアエンジニアなど、各分野の専門性を持つ人材を社内に育成することが必要です。
もちろんITベンダーの活用を完全に捨てる必要はありません。むしろ、ITベンダーを単なる外注先と考えるのではなく、戦略的パートナーとして位置付けていくべきです。社内での専門人材の育成と外部パートナーとの連携、両者をバランスよく考えていきましょう。
DX推進人材育成のための考え方2:ビジネス担当者のデジタルリテラシーの重要性
生成AIを含む新技術が急激に変化する現代においては、経営層を含めたすべてのビジネスパーソンがデジタル技術に対する理解を深め、積極的にその活用方法を学ぶ姿勢が求められます。
DX推進には専門人材だけではなく、企業に所属するすべての従業員がDXを「自分事」として捉えることが必要であり、ビジネス担当者が変革に積極的に関わるためには、デジタル技術に関する基礎的な知識とスキルを習得するリテラシー教育が不可欠です。
DX推進人材育成のための考え方3:実践の重要性
DX推進における人材育成では座学や知識の習得だけでなく、実際の業務やプロジェクトを通じた実践的な経験が必要となります。
この実践を通して学んだことが現実の課題解決にどう役立つかを体感し、スキルを定着させることができるためです。従業員が技術に触れ、「どのように業務に応用できるか」を体験する環境を整えることで、技術を身につけることができます。
以上のようにDX推進においては実践をとおしたスキルの習得が不可欠であり、企業はそのための環境整備を行うことが必要です。
経営層のリーダーシップや社員の自主的な学習意欲の向上も含めて、実践を支援する仕組みの構築がDX成功の鍵となります。
DX推進人材育成に役立つ教育サービス事例
以上の観点を踏まえたうえで、DX推進人材育成に役立つサービス事例を紹介します。
デジタルハリウッドリスキリングセンター
デジタルハリウッド(株)
デザイナー育成研修
企業のDXやデジタルシフトを実現する講座ラインナップ
デジタルハリウッドが提供する全ての講座・教材の中から、生成AIを活用した業務効率化など課題解決にあったカリキュラムをセレクトし提案します。
※これらの製品情報の閲覧には「DXPOオンライン会員登録」が必要です。
デジタルハリウッドは企業の人材採用に関する問題を解決することを目指し、取り組みを行っています。とくに近年は多くの企業がDXやデジタルシフトに取り組む中で、社内人材のリスキリングの必要性が高まっていることをうけ、企業からの要望に応えるために、DXやデジタルシフトを支援するための「リスキリングセンター」を設立しました。
デジタルハリウッドリスキリングセンターの特徴
リスキリングセンターの目的は、企業のDXやデジタルシフトを促進し事業の成長を支援することです。ここでは企業が抱える課題解決のために、以下のサービスを提供しています。
- リスキリング講座:企業の課題に合わせてカリキュラムの選択が可能です。 マーケティング業務の内製化、生成AIを活用した業務効率化、社内クリエイティブのクオリティアップなど、デジタルコミュニケーション全般の領域に対応できます。
- サブスクリプションサービス:受講者が学んだことを実際に仕事で活かすことが可能です。
- 成果が実感できるまでフィードバック:受講者が内製したクリエイティブ作品に対して、講師陣が専門的な視点からのフィードバックを提供します。
- 最新情報の提供:アプリケーションのアップデートや業界の最新トレンドに対応した映像教材の継続的な配信や、デジタルハリウッドで開催されるセミナーへの招待などを通して、受講者のスキルアップが可能です。
- 採用支援:企業の更なる成長をサポートするため新卒採用支援、中途採用支援、フリーランサー採用支援を提供しています。
- 受講形態: オンライン・オフラインのどちらでも受講でき、 業務との両立が可能です。
MENTER
WHITE(株)
MENTER
ITを作るヒトではなく、 使いこなせるヒトを育成する
マンガ動画で楽しくDX人材育成 実務につながるITリテラシーアップを実現 PCの基礎~生成AIの活用まで幅広く学べます。
WHITE株式会社のMENTERは「 ITを作る人ではなく、使いこなせる人を育成すること」を目的としたサービスです。
社内のデジタルスキルに差がありDX推進が難しい、学習しても専門的な内容で実際の業務に活かせない、社員の学習が続かず成果が出ないといった企業の悩みを解決するために開発しました。
MENTERの特徴
MENTERは、以下の特徴を持つ、マンガ動画を使用したチャット形式 のオンライン学習プラットフォームです。
- 分かりやすさ: マンガ動画を使用することで、難しいIT知識も理解しやすくなっています。
- 隙間時間で学習可能: 1レッスン5〜10分程度の短いコンテンツで構成されており、すきま時間での学習が可能です。チャット形式のため自分のペースで進めることができます。
- 現状把握: ITスキル診断テストにより現状のITリテラシーの客観的な把握が可能です。学習カリキュラムは業務に直結するITリテラシー全般の知識を学べるよう構成されており、30分のテストでショートカットキーからAIまで、以下のテーマで幅広い知識を問う実践的な問題が出題されます。
- DX人材のキホン知識
- Google検索で問題解決
- PC操作/ショートカット
- 自動化/生産性向上ソフトウェア
- リモートワークのセキュリティ
- 自動化とAI
- コンプライアンス基本講座
- Excel (初級, 中級, 上級)
- Word 初級
- PowerPoint 初級
- HTML 初級
- ITリテラシー 基礎
- ITパスポート資格試験対策講座
また業務に特化したカスタム講座作成も相談可能です。
DX推進のための社内人材育成の重要性
生成AIなどの新しい技術が登場し激しく変化する現代社会においては、DX推進をささえる社内人材の育成が急務です。
この記事で紹介した人材育成のための支援サービスをはじめとして、さまざまな特徴を備えた教育サービスが登場しています。社内のDX推進課題を見極めて長期計画の観点からのDX推進のための社内人材育成が大切です。