世界が生成AIの活用を加速させる中、日本ではまだ「使わない」という選択が主流のようです。
総務省が8日に発表した2025年の「情報通信白書」によると、生成AIの個人利用率は26.7%にとどまりました。
この数字は、国際的な活用の広がりと比べて大きな差があることを示しています。これは単なる技術の遅れなのか、それとも日本の未来を左右する分岐点なのか。今、日本は静かにその選択を迫られています。
引用:関係情報:情報通信関連:情報通信白書令和7年版 – 総務省 令和7年版情報通信白書(概要)
生成AIとは
生成AIとは、人間が入力した情報をもとに、文章や画像、音声などを自動で作り出す人工知能のことです。代表的な例としては、質問に答えるチャットツールや、画像を生成するアプリなどがあります。
これらの技術は、仕事の効率を高めたり、アイデアを広げたりするために活用されています。
世界ではすでに多くの人が日常的に使っており、教育、医療、ビジネスなど、さまざまな分野で導入が進んでいます。
生成AIは、単なる便利なツールではなく、社会の仕組みそのものを変える可能性を持つ技術として注目されています。
世界と日本の利用状況の違い
日本の生成AIの個人利用率は26.7%です。これに対し、主要国の利用率は以下の通りです。
国名 | 個人利用率 |
---|---|
中国 | 81.2% |
米国 | 68.8% |
ドイツ | 59.2% |
日本 | 26.7% |
日本では「生活や仕事に必要ない」「使い方がわからない」といった理由が多く、AIに対して若干の距離感があるようです。さらに、データでは60代では利用率が15.5%と低く、世代間のギャップも目立つ結果となっています。
この差は、技術の普及度だけでなく、教育や情報へのアクセス、文化的な受け入れ方にも関係していると考えられます。
なぜ今、生成AIとの向き合い方が問われているのか
生成AIは、ただの流行ではなく、社会の仕組みや働き方を根本から変える力を持っていると言われています。企業の業務利用率も、日本では55.2%と半数程度にとどまっており、中国や米国、ドイツでは9割を超えています。この差が続けば、将来的に生産性や競争力に影響が出る可能性もあります。
一方で、日本国内でも「条件が整えば使いたい」と考える人は多く、潜在的なニーズは高いことがわかっています。
ただし、利用率が低いことが必ずしも劣っていることを意味するわけではありません。物事には2面性があり、今は慎重な姿勢を見せているのではないでしょうか。
これは日本独自の価値観や慎重な姿勢など、文化的背景もあるとも言えるかもしれません。
日本が進むべき道とは何か
現時点では、生成AIを使わないことに対するリスクに目が向きがちですが「情報通信白書」では、今後日本が取り組むべきとしている項目は下記としています。
- 教育の充実:AIリテラシーを高めるための学校教育や社会人向け研修の強化
- 環境整備:誰でも使いやすいツールやインターフェースの開発
- 政策支援:企業や自治体への導入支援、補助制度の拡充
- 情報発信:AIの利点や安全性についての啓発活動
また、通信基盤やデータセンターの外国依存についても白書では懸念が示されており、技術だけでなく経済安全保障の面でも「自律性」が問われています。
日本が進むべき道は、単にAIを使うかどうかではなく、どう使いこなすかにかかっているのです。
まとめ
生成AIの活用は、今後の日本社会のあり方を左右する可能性をはらんでいます。
日本の慎重さと独自性がリスクか断言できない大きな潮流の中で、日本が岐路に立たされていることは確かです。
私たち一人ひとりがその分岐点に立っていることを意識し、自分なりの向き合い方を考える時なのかもしれません。