近年、AI技術の進化は目覚ましく、その中でもとくに注目を集めているのがOpenAIが開発した「ChatGPT」です。この記事では、まだChatGPTをビジネス活用したことがない方に向けて、基本的な理解とビジネスへの活用方法を解説します。
ChatGPTでできることを簡単に理解しよう
まずは、ChatGPTでなにができるのかを確認しましょう。ChatGPTには無限の可能性があるため、ここで紹介するのはほんの一例です。
- テキスト生成: 指定されたテーマに基づいて、記事、ブログ投稿、報告書などの文章を作成します。
- 質問応答: 質問に対して、知識ベースに基づいた適切な回答を提供します。
- 要約: 長文の文章や記事の主要なポイントを抽出し、短くまとめます。
- 翻訳: テキストの翻訳をします。
- 文章校正: 入力された文章の文法やスペルの誤りを検出し、修正案を提示します。
- アイデア生成: 新製品のコンセプトやマーケティング戦略など、クリエイティブなアイデア出しを支援します。
- コード生成とデバッグ: プログラミングコードの作成や、既存コードのエラーチェックと修正をサポートします。
- データ分析: 提供されたデータセットの分析や、統計情報の解釈を行います。
このように、ChatGPTはビジネス面でも大いに役立つツールです。
生成AIをビジネス活用している企業の割合は?
では、どのくらいの企業で既にChatGPTをはじめとする生成AIを、ビジネスにも活用しているのでしょうか。
2024年10月にJIPDECとITRから発表された「企業IT利活用動向調査2024」(国内企業983社を対象にした調査)によると、 2024年現在の企業での生成AIの使用割合は以下です。
- 「会社で構築・契約した生成AIを使用している」企業は15.9%
- 「各自で契約・登録した生成AIを使用している」企業は19.1%
- 「会社が生成AIの導入を進めている」企業は34.5%
- 「業務使用は禁止されており、使用できない」企業は9.3%
- 「禁止されていないが、従業員が使っているかはわからない」企業は16.8%
- 「生成AIが何か知らない」企業は4.5%
このアンケート結果を見るかぎり、2024年の時点では実際に活用している企業よりも、活用に向けての準備を進めている企業のほうが多いようです。
参考:創業手帳「生成AIを企業で利用・活用している割合は?業務効率化の事例などもまとめてご紹介」
生成AIの使用を禁止している企業も
わずかではありますが、生成AIの使用を禁止している企業もあります。企業が生成AIを禁止する理由は、主に以下の2つです。
情報漏洩のリスク
生成AIを利用する際、社内の機密情報や顧客データが入力される可能性があります。その情報がAIの学習データとして外部に流出してしまうと、企業の競争優位性が損なわれるリスクが生じます。とくに機密情報が第三者に渡った場合、法的な問題にも発展しかねません。
生成AIの設定によってはデータが学習されない場合もありますが、社内機密情報が誤って入力されることで情報漏洩のリスクが生じてしまうのです。
著作権や法的トラブルの懸念
生成AIが出力するコンテンツには、既存の著作物と類似する可能性があり、企業がそれを利用すると著作権侵害と見なされるリスクがあります。また、AIが生成する情報の信頼性が低い場合、不正確な情報が業務や顧客対応に悪影響を与える恐れもあるでしょう。
懸念点さえクリアできればビジネス活用できるケースは多い
情報漏洩のリスクや法的トラブルの懸念、この2点をクリアできるかどうかでビジネス活用できるかどうかが、決まるケースが多いようです。
上手にChatGPTをビジネス活用する4つのコツ
ChatGPTを効果的に活用するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 目的と用途を明確にする
- 適切なプロンプト設計
- 人とAIの役割分担
- AIの限界を理解する
1:目的と用途を明確にする
ChatGPTを活用する前に「何を効率化するのか」「どの業務をAIに任せるのか」を明確にすることが大切です。
たとえば、日常的なメール返信の下書き作成や、マーケティングコンテンツのアイデア出しなど、具体的な用途を決めれば効果が見えやすくなります。営業担当者がクライアントごとに異なる提案内容を作成する場合、ChatGPTを使って要点を整理し、効率的にたたき台を作ることができます。
また、カスタマーサポート部門では、よくある質問の回答を生成するテンプレート作成に使えば、業務の負担を軽減できます。このように目的を絞ることで、AIを適切に業務へ取り入れることができるのです。
2:適切なプロンプト設計
ChatGPTから質の高い出力を得るためには「具体的かつ明確なプロンプト」が重要です。プロンプトとは、生成AIへの指示のことです。
たとえば「商品のキャッチコピーを考えて」と入力するだけでは曖昧すぎます。代わりに「20代女性向けのスキンケア商品で、自然派を意識したキャッチコピーを5つ考えて」と指示すれば、より適切な回答が得られるでしょう。
また、業務レポート作成では「2024年第一四半期の売上データを元に、売上傾向や注目ポイントをまとめてください」のように、具体的な指示を出すことで、AIが役立つアウトプットを生成します。AIに期待する内容や条件を細かく設定し、プロンプトを工夫することが、精度の高い結果を引き出す鍵となります。
3:人とAIの役割分担
AIの能力を最大限に活用するには、人間との適切な役割分担が必要です。AIに任せる部分は「定型業務」「データ処理」など効率化できるものに絞り、人間は「判断力」や「創造力」が求められる領域を担当することが理想です。
たとえば、AIがニュース記事の要約やSNS投稿文の下書きを作成し、人間がその内容を確認し、最終的なニュアンスやブランドの声に合わせて調整します。
また、採用活動でChatGPTを活用し、応募者向けの面接案内や質問リストを作成し、人事担当者は応募者の人柄やスキル評価に専念する形が効率的です。AIに任せる部分と人が判断・対応する部分を明確にすることで、業務全体の生産性が高まります。
4:AIの限界を理解する
ChatGPTは非常に有用ですが、万能ではありません。誤った情報や不正確なデータを生成する可能性があるため、AIの出力内容をそのまま信頼するのではなく、人間による確認が欠かせません。
たとえば、法的文書や契約書のドラフトを生成する際、ChatGPTが作成した内容をそのまま使用せず、必ず専門家による最終チェックを行う必要があります。
また、顧客への提案書作成でAIを使う場合も、独自の視点や具体的な提案内容は人間が精査して追加することが大切です。AIの限界を理解し、「参考情報として使う」「人間の補助ツールとして活用する」といったスタンスを取ることで、安全かつ効果的な業務利用が可能になります。
ChatGPTをビジネス活用するための、おすすめサービス
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ChatGPTのビジネス活用基本の「き」:まとめ
これからChatGPTをビジネス活用していきたい方に向けて、ビジネス活用する際の基本を紹介しました。
ChatGPTは、ビジネスの業務効率化や新たな価値創出の手段として大きな可能性を秘めています。しかし、まずは社内メールの返信の下書き作成などの小規模な導入から始め、効果を検証しながら段階的に活用範囲を広げていくことをおすすめします。